専門26業務の撤廃について解説!メリットはある?
目次
派遣社員として働いたことのある方や、これから働こうとしている方の中には、専門26業務について耳にしたことのある方も少なくないでしょう。
現在では撤廃されていますが、その背景をご存じでしょうか。
本記事では、専門26業務の撤廃が派遣社員にどう関わるのかについても解説します。
労働者派遣法改正

労働者派遣法とは、派遣スタッフとして働く労働者の権利や、就業条件などについて定められた法律です。
1986年に制定された法律ですが、その後時代の移り変わりとともに改正が繰り返されてきました。
平成27年9月30日に改正労働者派遣法が施行され、改正後の派遣法では、労働者派遣事業が届出制ではなく許可制となり、派遣社員への教育訓練なども義務付けました。
また、派遣期間終了後に、派遣社員の雇用安定措置を図ることも義務付けられています。
派遣期間が終了すると、そのまま契約解除となり職をなくすケースが多かったのですが、これにより派遣社員は雇用の安定を図れるようになりました。
もっとも大きな変化といわれているのが、本記事でお伝えしようとしている専門26業務の撤廃です。
従来の専門26業務が撤廃され、同じ派遣先での受け入れ期間は最大3年となりました。
派遣の専門26業種とは
専門性が高いとされる26の業種を、専門26業種と呼んでいました。
詳しくは後述しますが、通訳や事務用機器操作、機械設計、ファイリング、調査など、専門性が高いと考えられていたさまざまな業種が含まれています。
派遣法には、同一の職場で3年を超えて就業できないルールがありますが、これら26業種に関しては上限がありませんでした。
つまり、これら26の業種なら、受け入れ先企業は何年でも自由に派遣社員のまま使用できたのです。
専門18業種
かつては26業種だったのですが、2012年の法改正により18業種となりました。
ここで解説する18業種は、例外的に日雇い派遣が可能な業種です。以下にまとめました。
- 情報処理システム開発
- 機械設計
- 通訳・翻訳・速記
- 事務用機器操作
- 秘書
- 調査
- ファイリング
- 財務処理
- 貿易
- 機械のデモンストレーション
- 受付・案内
- 添乗業務
- 研究開発
- 事業の実施体制の企画や立案
- 書籍などの制作・編集
- OAインストラクション
- 広告デザイン
- セールスエンジニア・金融商品の営業
2012年に日雇い派遣は原則禁止となりました。
しかし、これら18の業種においては、例外的に日雇いでの派遣が認められていたのです。
専門10業種

こちらは、日雇い派遣を完全に禁止された業種です。以下にまとめました。
- 放送機器等操作
- 建築物清掃
- 放送番組等制作
- 建築設備の運転や点検、整備
- 駐車場管理等
- アナウンサー
- インテリアコーディネーター
- テレマーケティングの営業
- 放送番組等における大道具・小道具の業務
- 水道施設等の設備運転
労働者派遣法施行令第5条に定められている、10業種です。
これらの業務は専門性が高いと考えられ、日雇い派遣も完全にできなくなりました。
建築物清掃や建築設備の運転などは、危険を伴う業務でもあるため、日雇い派遣を禁止されたのかもしれません。
専門26業種の廃止の背景
専門26業務に従事する場合、受け入れ先は永遠にその人材を派遣社員として現場に投入できます。
専門性があり、なおかつ正社員よりもコストの低い派遣社員を利用できるのは、企業として大きなメリットでした。しかし、このような状態では、派遣社員はいつまでも安い賃金で働かされ、転職の機会を逃してしまうおそれもあります。
専門26業務の中には、それほど専門性が必要ないものもあるため、スキルアップを果たせないまま年老いてしまう恐れもあるのです。
雇用が不安定な派遣社員として40~50代になり、いきなり現場を失った場合、どこにも行き場がありません。このような事態を回避し、派遣社員が新たな道を模索できるよう26業種は撤廃されました。
また、先ほど少し触れましたが、26業種の中にはそれほど高度な専門性が必要ないものもあります。つまり、専門26業種という区分はすっかり形骸化してしまっていたのです。
悪質な企業の中には、専門26業種にまったく関係ない業務を、専門26業種として派遣社員に従事させていたこともありました。
専門26業種の業務としておけば、派遣期間の上限を気にすることなく派遣社員を使えるからです。このような背景もあり、専門26業種は撤廃されました。
2015年に派遣法が改正され、業種に拘らずすべての現場において派遣社員の受け入れ期間は3年と決まったのです。専門26業種の撤廃に伴い、派遣で働く多くの方はより選択肢を広げられるようになりました。
また、3年の上限が設定されるため、必然的に転職やキャリアアップを考えられる環境も整ったのです。
今後の派遣社員の働き方

専門26業種の撤廃により、派遣社員は自身の可能性を広げるチャンスに恵まれました。しかし、派遣として働く方の中には、ひとつの職場で長く働き続けたいと考える方もいます。
どのような働き方を選ぶかは人によって異なりますが、大切なのは雇用の安定化を図ることです。また、教育訓練や研修などを積極的に受け、自らの専門性を高めるのも大切です。
この先、派遣社員として働き続けるにしても、異なる雇用形態で働くにしても、雇用の安定化と自らのスキルアップは避けて通れない道といえるでしょう。
雇用安定化を図る
派遣社員は、同一の職場で3年以上働けません。
しかし、中には同一の職場で長く働き続けたい方もいるはずです。そのような方は、受け入れ先に直接雇用をお願いしてみましょう。
ただ、そのためには日ごろから勤怠を自分でしっかり管理し、働きぶりもアピールしておく必要があります。
企業が正規雇用したいと思えるほどの人材なら、派遣期間の切れるタイミングで登用してもらえる可能性は十分あります。
逆に、普段から不まじめで、社員や上層部からもあまりよく思われていないような方は、正規雇用してもらえる可能性が低いです。
これは、採用する企業の立場で考えてみるとよくわかるでしょう。
身につけたい技術ややりたいことが決まっているのなら、新しい派遣先を紹介してもらうのもひとつの手です。
そこでスキルアップを目指し、ゆくゆくは正規雇用してもらうことも考えてみましょう。
教育訓練を受ける

雇用の安定化を図るにも、自身のスキルアップを目指さなくてはなりません。
教育訓練や研修などへ積極的に参加し、専門性を高める努力をしましょう。
専門性を身につければ、今後派遣だけでなく正規雇用として働く道も見えてきます。
資格取得も検討しましょう。取得しているだけで価値のある資格はたくさんあります。
難易度の高いもの、専門性の高い資格を持つ人材を求める企業は多いため、雇用の安定化や収入アップが図れます。たとえば、以下の資格はどうでしょうか。
- ファイナンシャルプランナー
- 中小企業診断士
- 宅地建物取引士
- 行政書士
- 建築士
これらの資格は需要が高く、有資格者を求める企業も少なくありません。
受け入れ先企業の派遣期間が終了しても、活躍できる職場を見つけやすくなるでしょう。
自分が興味のある分野から、取得する資格を決めるのもよいかもしれません。
まとめ
専門26業種はすでに撤廃され、働き方改革により派遣社員の同一労働同一賃金も実現しています。
しかし、まだまだ派遣社員を取り巻く環境は不安定です。突然の事態に備え、万全の体制を整えておくことは決して悪いことではありません。
派遣会社を選ぶ際にも、スキルアップできそうな現場を扱っているかどうか、資格取得の支援制度があるかなどをチェックしつつ選びましょう。
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