日商簿記の難易度や役立つシーンをご紹介
目次
「日商簿記」は経理担当者向けの資格だと思われがちですが、そうではありません。営業や管理部門に所属している方でも日商簿記の資格を取得するために勉強していくことで、業務上のお金の流れを理解できたり経理関連書類を読み解く力がついたりと、仕事の幅を広げることができる資格なのです。本記事では日商簿記の概要や試験問題の出題傾向、対策をご紹介していくので、日商簿記の資格取得を考えている方はぜひ参考にしてください。
日商簿記とは

日商簿記は簿記検定の中でも最もメジャーな検定試験で、学生が就職活動のために受験したり、社会人がキャリアアップのために受験することも多くみられます。日商簿記を取得することで経理としての業務に生かせるだけでなく、原価計算や決算書の内容への理解も深まるなど、さまざまな業務において役に立つ知識を身に着けることができます。
日商簿記の目的
日商簿記を取得することで企業の経理事務に必要となる会計知識はもちろん、基礎的な経営管理や分析力を身に着けることができます。また、ビジネスの基本であるコスト感覚も合わせて身に着くので、コストを意識した仕事をすることができ、経理や庶務だけでなく幅広い業務分野において役に立つ力を身につけることができます。
試験日・実施会場
日商簿記は毎年2月・6月・11月の年3回、試験が実施されています。ただし、1級の試験に関しては、2月には開催されていないので注意が必要です。試験会場は全国各地に用意されており、申し込みを行った地域の商工会議所が用意している会場で受験することになります。受験料は、3級が2,850円、2級が4,720円、1級が7,850円となっており、どの級を受験する際にも事務手数料として550円が追加で発生します。
受験者数
日商簿記の受験者数で最も多いのは3級で、毎回およそ90,000~110,000人が受験しています。3級以外でも、2級の受験者は約50,000~65,000人、1級は約9,000~10,000人と、日商簿記はその実用性からしても非常に人気の高い資格であることがわかります。また受験者の割合をみると約半数が社会人の方であることから、社会に出てから非常に役立つ知識だと言えます。
試験の難易度
日商簿記には原価計算初級、簿記初級、3級、2級、1級の5つの難易度が設定されていますが、3級から受験することが一般的です。また3級と2級は筆記試験のみですが、準1級からはそれに加えて面接試験も行われるようになります。日商簿記の合格点は全体の7割以上の正答率で合格となります。合格率については年度ごとにばらつきがありますが、3級は約45~55%、2級は約15~30%、1級は約5~15%の合格率となっています。
試験内容
日商簿記の試験内容は、3級は「商業簿記」、2級は「商業簿記」「工業簿記」、1級は「商業簿記・会計学」「工業簿記・原価計算」と、難易度が上がるごとに出題される内容も増えていきます。試験時間は3級・2級は120分、1級は90分試験を行った後15分休憩をはさみ、さらに90分の試験を行います。ここでは過去に出題された問題の傾向をご紹介しますので、受験の際の参考にしてください。
仕訳問題
日商簿記において第1問に毎回出題されているのが仕訳問題です。その中でも、仕入取引の問題は過去問からパターン化されて出題される傾向にあり、しっかりと抑えておくことが大切です。主に商品の取引における金額とそれに関する条件を提示され、その仕訳を回答する、という問題が出題されます。ここでは勘定科目を理解し、素早く回答する能力が必要になります。
試算表作成問題

試算表作成問題も仕訳問題と同じく試験実施のたびに出題され、全体の中で大きな配点を占めている重要な問題です。こちらも過去問の傾向に沿った出題がされているので、事前にしっかりと理解しておきましょう。過去の例としてはT字フォームを提示され、それに基づいて残高試算表を作成しなさい、といった問題が出題されています。
精算表作成問題
精算表作成問題も仕訳問題や試算表作成問題と同様に出題頻度が高く、やはり大きな配点を占める問題です。過去には決算整理事項が複数個提示され、それに基づいて精算表を作成しなさい、といった問題が出題されています。ここでは精算表の要点を理解し、素早く、かつ正確に精算表を作成する能力が求められます。
伝票会計問題
伝票会計問題はこれまでに紹介した3つと比較すると配点こそ高くありませんが、論点が少ない上に問題もワンパターンな事が多いため、しっかりと理解していれば高得点を狙えます。過去には、行った取引の条件を提示され、それを伝票に記入しなさい、といった問題が出題されています。伝票会計は仕訳にもつながる簿記の基礎的な部分ですので、過去問を繰り返し解き正確に回答できるようにしておきましょう。
資格が役立つ場面
日商簿記という資格は経理向けの資格と思われがちですが、社会人として仕事にあたる上で幅広く役立ちます。コスト感を持って仕事をすることで、経理職に限らず営業・販売職などでもより収益を生み出せる仕事をすることができます。起業や経営に携わることを目指している場合にも、きわめて役に立つスキルと言えるでしょう。さまざまなキャリアアップにつながり、自分自身の可能性を広げることができるのです。
おすすめの勉強方法

日商簿記を受験するにあたっておすすめの勉強方法は「テキスト・過去問を読み込む」ことです。日商簿記の試験勉強をしていく上で大事なのは基礎知識をしっかりと身に着け、出題傾向のパターンを把握することです。テキストや参考書を読み込み、基礎知識を身に着けた上で過去問を繰り返し解き、出題のパターンを理解することで資格取得へとつながっていきます。
テキスト
日商簿記を受験する上でまず重要になってくることが簿記の基本的な部分をしっかりと理解することです。簿記に関する基礎的な知識を身に着けなければ問題集を解こうとしても解き方がわからず、非効率的になってしまいます。基礎的な知識を身に着けるためには「パブロフ流 みんなで合格日商簿記」など、わかりやすく解説をしているテキストを読み込むことが大切です。様々な種類のものが出版されているので、自分に合ったものを探してみてください。
過去問
基礎知識が身に着いたら過去問をとにかく解いていくことが重要になってきます。配点が大きい問題は過去に出題されたものと似たような問題が出題される傾向にあるので、過去問を解くことで問題をパターン化し限られた試験時間の中で素早く回答していく力を身に着けることができます。過去問題集は書店などで探すこともできるほか、現在はWeb上で解説付きの過去問を公開しているサイトもありますので、そちらも活用をおすすめします。
動画
現在では、動画サイト上で日商簿記の勉強法や対策が数多くアップロードされています。動画の視聴によって文字だけでなく動きのある映像や音声としても情報が入ってくるので、非常に理解しやすくおすすめです。またテキストや過去問にはない、実際の日商簿記を受験する際の体験談などを交えた話を聞ける動画もありますので、試験勉強+αの実践的な知識を得ることができます。動画サイト上で「日商簿記」のワードを入れて検索をすればこのような動画は出てきますので、ぜひ一度視聴してみてください。
アプリ
動画のほかにも日商簿記の試験勉強ができるスマートフォンのアプリも公開されています。無料のアプリをはじめ、テキストの項でご紹介した「パブロフ流」のアプリなど、さまざまなアプリが公開されています。スマホアプリであれば通勤中や移動中、休み時間、寝る前などのちょっとした空き時間を活用できますし、腰を据えて勉強する場合にも場所を選びません。ぜひ自分に合いそうなアプリを見つけてみてください。
まとめ

日商簿記は、経理に必要な知識を得られるだけでなく、社会人として仕事にあたる上で役立つ知識を得ることのできる有用な資格です。同時に、「今までは数字に苦手意識を持っていたけれど、いざ勉強してみたら面白い!」といった感想を持つ方もいるように、キャリアアップや自分の可能性を広げることにも繋がる資格なのです。少しでも興味を持たれたら、ぜひ日商簿記を受験してみてください。
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