接客業で必要なビジネスマナーの基本

「接客」は接客業において、お店の顔ともいえるほど大切な要素です。商品の良し悪しを差し置いて、お客様に与える店舗の印象に大きく影響します。ではお客様が満足する接客とはどのようなものなのでしょうか？

ここでは接客業の基礎でありながら、最も重要であるビジネスマナーについて解説します。接客の質があがれば、お客様の反応も格段に違ってくるでしょう。

接客業で必要なビジネスマナー

接客とは、ただ単にお客様の対応をすることを意味する言葉ではありません。接客は、店舗に訪れたお客様をもてなす姿勢や態度を指します。接客でのビジネスマナーを知っているかどうかで、お客様が受ける印象に雲泥の差が出てくるでしょう。

ここでは、接客業に求められるビジネスマナーをひとつひとつ、解説します。接客業でのマナーを理解して、お客様を満足させられる接客スキルを磨きましょう。

挨拶

接客業の基本は、まずは挨拶です。

お客様に限らず、相手が誰であっても、知っている人やお世話になっている関連会社の人などに挨拶するのは、社会人として、人として当然のマナーであるといえます。それが、お客様ならなおさらです。

お客様を迎え入れるときには、「いらっしゃいませ」や「こんにちは」などの、基本的な挨拶は必要不可欠でしょう。またお客様を見送る際には、「ありがとうございました」、「さようなら」など、なにか一言声をかけるように意識しましょう。

笑顔

接客をするときは、自分の気分や気持ちに関係なく常に笑顔を向けるようにしましょう。

人の第一印象は話の内容でなく、顔の表情など外見的な要因で決まります。そのため、挨拶や話の内容がしっかりしていても、顔が笑っていなければ、お客様はいい印象を持ちません。

もちろんお客様の会話の中では、お客様の気持ちに寄り添う必要があるので、話の内容に合わせた表情で構いませんが、第一印象が決まる最初の声掛けでは常に笑顔を心がけましょう。

言葉遣い

挨拶と笑顔で良い印象を得られたら、次に必要となる接客マナーは言葉遣いでしょう。

たとえば、いきなりタメ口をつかったり、間違った敬語を使ったりすることでお客様が不快な気分になるかもしれません。逆にいえば、言葉ひとつでお客様を満足させることもできるため、正しい言葉遣いは接客をするうえで、とても重要なポイントなのです。

また「恐れ入りますが…」、「大変申し訳ございませんが…」など、話を始める前の「クッション言葉」が自然と使えるようになると、さらに印象がよくなるでしょう。

身だしなみ

接客業は店舗の顔であることは、冒頭でも触れました。これは態度や姿勢のみならず、身だしなみも大きく影響します。人の印象は外見的な要素が大きいことから身だしなみは、最低限整える必要があるでしょう。

たとえば、フライトアテンダントや百貨店のスタッフ、飲食店のスタッフなど、制服や髪形、頭髪の色など統一している業界が多いのも、身だしなみが企業や店舗の印象へ直結するためです。

接客時の身だしなみは、ファッションではないので自分の好みで着飾るものではありません。お店のテイストにあった、清潔感のある身だしなみを意識しましょう。

ホスピタリティ

接客では、最低限のマナーはもちろんですが、もっとも大切なことはお客様をもてなしたい、お客様に心地よく過ごしてほしいといった気持ちを持ち、しっかりその気持ちがお客様に伝わることです。

お客様へのおもてなしの気持ちは、言葉の端々や些細な行動から伝わるものです。テクニックではなく、真剣にお客様に向き合い話をよく聞くことで自然と現れるものなので、日ごろの接客マインドが重要となります。

このほかに

• 相手が理解しやすい言葉を選ぶ
• 語尾を強く発音しない
• 相手の真意を汲み取る
• 名前がわかる場合は名前を呼ぶ

など、意識することでホスピタリティを伝えることにつながるでしょう。

接客業で気をつけたいポイント

接客マナーの基本を心得たら、次に接客業で意識的に気をつけたいポイントについて学びましょう。接客時の一挙一動がお客様の心理を操作するといっても過言ではありません。

お客様によって理想的な接客は違うため、テクニックやマニュアルに走りすぎるのはよくありませんが、ポイントを抑えておけば、臨機応変に対応できるでしょう。

ここでは、接客時に留意しておきたいポイントを紹介します。

話すスピード

接客時の話すスピードは、お客様の心地よさに影響します。話す速度は人によってさまざまで、ゆっくりの人もいれば早い人もいます。早口の人にゆっくり話かけていてはテンポが合いません。逆の場合も然りです。

接客をする際は、お客様の話す速度にあわせて、こちらからお客様に合わせる必要があります。お客様に合わせてもらっていては、うまく接客できているといえません。

日頃から早口になる傾向のある人は、話し出す前に一呼吸おくようにしましょう。

声のトーン

お客様と話すときは、声のトーンにも注意しましょう。声には個性があるので、声質をこえることはできませんが、声のトーンを少し高くして話すと、聞き取りやすく、印象もよくなります。

お客様と話すときにふさわしい声のトーンは、「ファ」から「ソ」の音をイメージしてみてください。実際に声に出してドレミファソと声に出し、練習してみましょう。

におい

接客業では、においのケアも重要です。においとは「体臭」、「口臭」、「香水」、「服の匂い」など、さまざまですが、これらすべてにおいて気をつかう必要があります。

清潔に保つことはもちろんですが、ランチ後の歯磨きや良かれと思ってつけた香水の匂いにも気をつけましょう。とくに香水においては、本人は良い香りだと思っていても、個人の好みの差が大きいです。

とくに飲食店などで接客をする際は、匂いが味覚に影響を与えるため、十分に気を付けましょう。

動作・動きの速さ

接客中、お客様は些細な行動も目についたりするものです。ゆったりリラックスするためにきたお客様の周りでせわしく動き回ると、お客様は落ち着きません。手際の良さは接客するうえで大切ですが、丁寧な動作ができたうえで求められることです。

物を置くときはできるだけ音がしないように、相手に何かを渡すとき、もうらうときは両手を添えるなど、ひとつひとつの動作を丁寧におこなうように意識しましょう。少し意識をするだけで動作が丁寧になります。

姿勢

接客をしているときはもちろん、接客業である以上、いつどこから見られているか分かりません。座り姿勢、立ち姿勢、歩き姿勢、いつでもきれいな姿勢をこころがけてください。

猫背になっていると、だらしない印象を与えるだけでなく、発声もできないでしょう。また背もたれにもたれかかった姿は威圧的にみえるため、接客には向きません。

姿勢を正すには「骨盤をたてる」ことを意識しましょう。骨盤を意識するだけで、自然とキレイな正しい姿勢になります。椅子に座るときは背もたれから握りこぶし一つ分あけて座るといいでしょう。

化粧

接客業に従事する女性のメイクは、自分らしさを表現するのではなく、「マナー」としてのメイクが求められます。薄いメイクがいいのか濃いメイクがいいのかは、一概にはいえません。

百貨店などの美容部員やアパレルスタッフであれば、ブランドイメージに合わせて、しっかりメイクした方がいい場合もあります。いっぽうで飲食店などではナチュラルなメイクが最適でしょう。

おもてなしの意味あいでのメイクは、TPOにあわせ、お店の雰囲気になじむメイクを心がけましょう。

まとめ

お店のイメージや評判に直結しやすい接客業は、とても大切な仕事です。どんなシーンであろうと、お客さまに不快感を与えないことが最重要です。こうして書き出してみると、かなり気を付けることが多いように見えますが、日常生活でこれらのことが自然にできるよう、意識していればおのずと身についていくものです。常に笑顔を忘れずに、身だしなみや言葉遣いなど正しい接客マナーを意識しましょう。