派遣スタッフも受け取れる!休業補償や休業手当
目次
休業補償や休業手当は、正社員しか受給できないと思っていませんか?
休業補償や休業手当は、仕事を休まなくてはならなくなったときや、休まざるをえなくなったときに支給される金銭です。これらの補償や手当は、正社員だけでなく派遣スタッフでも受け取れるのです。
いざそのときが訪れても慌てないよう、それぞれの違いや計算方法などもここで覚えておきましょう。
休業補償・休業手当の違いは何か?

休業補償と休業手当を同じものと認識している方は少なくありません。現実には、休業補償と休業手当は異なるものであることをまず理解しましょう。
休業補償とは、ケガや病気などで仕事ができなくなったとき、労災保険から給付されるお金を指します。
一方、休業手当は会社側の都合で従業員を休ませたときに支払われる手当です。誰が支払うのか、どれくらいの金額が対象になるのかなども異なるため、正しく理解しておきましょう。
休業補償とは何か?
業務中にケガをした、または業務が原因で病気になったとき、労災保険から給付されるお金のことです。
業務中のケガや病気などは健康保険ではなく、労災保険がカバーすべき領域です。業務中のケガや病気だけに限らず、通勤や退勤中の負傷、それに伴う療養などが発生したときも、休業補償の対象になることを覚えておきましょう。
派遣スタッフも休業補償が受けられますが、条件を満たさなくてはなりません。まず、ケガや病気により療養が必要で、なおかつ就業できないことが挙げられます。医師の診断書も必要なため、必ず病院で診察を受けなくてはなりません。
また、会社から給料が支給されていないことも条件です。体は動かせるからと出勤して業務を行い、賃金の60%以上が支払われているケースでは、休業補償を受給できません。
休業手当とは何か?
業務を行える状態であるにも拘らず、会社都合で休まされたときは休業手当が発生します。
労働基準法には、「使用者の責に帰すべき事由」で従業員を休ませるときは、休業手当を支給しなくてはならないと定められています。
たとえば、工場なら大規模な保守メンテナンスが必要になったときや、不慮の事態で機械を稼働できなくなったときなどが考えられます。また、人員不足や経営不振による営業停止などで休まされるときも、休業手当の対象です。
休業補償は労災保険により支払われますが、休業手当は会社から支払われます。
雇用契約や就業規則に合意しているケースでは、これらに準じた金額が支払われ、合意がない場合には労働基準法をもとに計算されます。
天災により派遣スタッフが休業した場合の休業補償

このケースでは、休業補償はありません。地震や雷、台風などの天災発生は予測が難しく、使用者側に責任はないからです。
そのため、天災により公共交通機関が使えなくなった、車で道路を走行できず出勤できない、といったケースでも休業補償は給付されません。
派遣会社の都合で休業するケースでは、派遣会社側が別の派遣先を斡旋するなどの措置が必要です。
ただ、実際にはそのような措置をとらない派遣会社も少なくありません。単発で働ける派遣会社に複数登録しておくなどしておくと、こうしたケースでも仕事を見つけられます。
なお、天災以外にも、ストライキによる休業や、健康状態を懸念されて休みを言い渡された場合なども休業補償の対象にはなりません。
休業補償・休業手当の計算方法
休業補償は、平均賃金の6割が目安です。ケガや病気などをした日より以前、3ヶ月間に支払われた賃金総額を、期間の総日数で割り、算出した数字が平均賃金です。
休業手当も基本的には同じで、直近3ヶ月の平均賃金に60%をかけて算出した数字が手当の金額です。
実際には、細かい部分で計算方法やルールに違いがあるため、きちんと理解しておきましょう。
以下、休業補償と休業手当、それぞれの具体的な計算方法をまとめました。
休業補償の計算方法
休業補償は、1日で稼げるはずだった金額の60%と、休業特別支給金(20%)が支給されます。休業補償は労災保険から支払われますが、仕事を休んで4日目からしか支払われません。
そのため、休んで3日目までは会社側が支払います。休業補償の計算式は以下の通りです。
(平均賃金×0.6)+(平均賃金×0.2)
休業補償給付は平均賃金の6割のため、0.6をかけます。休業特別支給金は、平均賃金の2割のため0.2をかけて算出します。
月給20万円のケースで計算してみましょう。
平均賃金は、月給×3ヶ月×その期間の日数で算出します。
3ヶ月の日数が90日だとすると、このケースでは20万×3ヶ月÷90日=6670円となり、これが平均賃金です。
休業補償給付は、6670×0.6=4000円、休業特別支給金は6670×0.2=1330円です。
これを先ほどの計算式に当てはめると、(6670×0.6)+(6670×0.2)=4000+1330=5330円となり、これが1日あたりに受け取れる休業補償の金額です。
休業手当の計算方法

平均賃金の60/100以上を、派遣スタッフは休業期間中に受け取れます。
ただし、休業手当を支給してもらうには、会社都合で休業になっている必要があります。先述した、台風や落雷など天災による休業は会社都合による休業とはみなされないため、注意してください。
休業手当の計算式は、平均賃金×休業日数×0.6です。
休業補償のように、最初の3日間は補償の対象外といったことはなく、休業した日はすべて休業手当の対象です。
月給20万円のケースで計算してみましょう。
3ヶ月の日数が90日なら、20万円×3ヶ月÷90日=6670円となります。休業した日数が10日間なら、6670円×10日間×0.6=40020円となり、これが休業手当の総額となるのです。
ただ、派遣スタッフの場合は、平均賃金を3ヶ月の労働日数で割ることが認められています。
時給制で働く派遣スタッフは、トータルの労働日数が少なくなるケースが多く、原則の公式に当てはめると平均賃金が少なくなってしまうからです。
つまり、毎月コンスタントに20万円を稼ぐ派遣スタッフで、3ヶ月の実働日数が60日だった場合、計算式は以下のようになります。
20万円×3ヶ月÷60日=10000円
休業した日数が10日間なら、10000円×10日間×0.6=60000円。これが、休業手当の金額です。
新型コロナウイルスの影響による休業補償
未だ収束の兆しが見えない新型コロナウイルスにより、多くの企業が休業や時短営業に追い込まれました。
会社から休んで欲しいといわれた派遣スタッフの方も少なくないでしょうが、このようなケースにおける休業補償はどうなっているのでしょうか。
結論からいえば、政府は労働者の不利益を回避する努力を、各企業にお願いするにとどまっています。つまり、派遣スタッフの生活を守る具体的な補償の措置はない、というのが現状なのです。
ただ、現在では雇用調整助成金をはじめ、労働者を守るべくさまざまな措置を打ち出し始めています。これは、労働者が直接申請するのではなく、雇用主が申請し、お金も雇用主に給付されます。
派遣会社も雇用調整助成金を利用できるため、気になる方は登録してある派遣会社の担当者、エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
まだまだ新型コロナウイルスは収束しない可能性があり、今後はさらに労働者を守るための措置が打ち出される可能性があります。
自身の生活を守るため、日ごろからアンテナを張り、大切な情報をしっかり収集しましょう。
まとめ

派遣スタッフは、休業補償や休業手当を受けられないと勘違いしている方が多いですが、そのようなことはありません。条件さえ満たしていれば、派遣スタッフでもこれらの補償や手当を受けられます。
日々の生活を守るため、休業補償と休業手当を正しく理解し、必要に応じて制度を利用してください。
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