正社員のメリット・デメリットとは|非正規で働くことにもメリットは多い?
目次
安定を求めて正社員を選択する人は多いですが、敢えて非正規を選ぶ人もいます。正社員・非正社員共に良い面と悪い面があるからです。どちらが合っているかは本人の価値観や生活環境によって変わります。
大切なことは、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで選択することです。ここでは、正社員・非正社員それぞれのメリット・デメリットを解説します。ぜひ参考にしてください。
正社員と非正社員の違い
一般的に、会社は正社員と非正社員で構成されています。非正社員とは契約社員やアルバイト、業務委託など正社員以外の雇用形態のことです。正社員や非正社員などの区分は法律で定められた線引きではありません。労働基準法ではどちらも同じ「労働者」です。
では、両者は雇用形態以外に何が違うのでしょうか。雇用形態ごとの特徴を見ていきましょう。
正社員
正社員は、企業に雇われる期間の定めのない、就業規則に明記される所定労働時間がフルタイムの労働者のことです。総務省が2020年に行った労働力調査では、役員を除く雇用者数 5582 万人のうち 3563 万人と6割が正規の職員・従業員です。
出典:総務省「労働力調査 (基本集計) 2020年(令和2年)4月分」
正社員の割合が多い業種は建設業と鉱業、採石業、砂利採取業などです。これらの業種の正社員率が高いのは、作業内容がハードでケガなどのリスクが高いことや、技術職なので一人前になるまでに長い年月を要するなどの理由が考えられます。
契約社員
契約社員は、会社と雇用期間の定めのある労働契約を交わした従業員のことです。「期間契約社員」や「準社員」などと呼ぶこともあります。総務省が2020年に行った労働力調査では、役員を除く雇用者数 5582 万人のうち 2019 万人と4割が非正規の職員と従業員です。
出典元:総務省「労働力調査 (基本集計) 2020年(令和2年)4月分」
アルバイトを含む非正規雇用が多い業種・職種は、飲食や宿泊などを含むサービス業や卸売・小売業といった産業です。
派遣社員
派遣社員は、配属される企業と直接の雇用関係はなく、所属する人材派遣会社と雇用契約を結んでいることが特徴です。「一般派遣」「特定派遣」「紹介予定派遣」の3種類がありますが、基本的に派遣社員というと「一般派遣」のことを指します。
アルバイト
アルバイトという名称は、会社による俗称で法律によって区分されているわけではありません。パートタイム労働法では「短時間労働者」に定義され、パートや契約社員などと同じ区分に分類されています。
アルバイトは勤務日数や労働時間を自分で選択することができることが多いので、仕事ができる時間が限られる主婦や学生が多いです。給料形態は時給制で、働いた時間に応じた金額が支払われます。
正社員のメリット・デメリット

正社員は契約社員やアルバイトなどに比べて、待遇が良く安定しているというメリットがあると言われています。正社員に向いているのは、一つの企業で働き続けたいという人や、配偶者や子供を養うために仕事に安定を求める人などです。
ただし、メリットがある反面、人によってはデメリットと感じる部分も多くあります。ここでは、正社員のメリットとデメリットを解説します。
正社員のメリット
正社員には他の雇用形態にはない様々なメリットがあります。雇用や収入が安定していることや、出世や昇給のチャンスがあることなどです。では、正社員のメリットを詳しく見ていきましょう。
雇用の安定
正社員の最大のメリットは、雇用期間の定めがない「無期雇用」であるという点です。アルバイトも契約社員も一定期間ごとの契約更新がありますが、正社員には契約更新がありません。社内の秩序を著しく乱した、会社が経営不振など、正当な理由がない限り解雇することができない決まりになっています。
無期雇用であることが、正社員が安定していると言われる主な理由です。
収入の安定
収入が安定していることも正社員の魅力のひとつです。契約社員やアルバイトは時間給で給料が計算されるため、振り込まれる金額は勤務日数や勤務時間に応じて変化します。正社員は毎月振り込まれる給料の金額が決まっていることがほとんどです。自己都合による休みなどで欠勤した場合でない限り、給料が減額されることはありません。
毎月決まった額が振り込まれると将来的な見通しが立てやすいため、生活が安定すると言えるでしょう。
手当や会社の制度の利用
契約社員やアルバイトに比べて、正社員の方が会社からの手当や福利厚生を優先的に受けられます。多くの会社では従業員の為に手当や福利厚生を用意しています。手当には住宅手当や家族手当などが、福利厚生には研修制度、資格取得支援などがあります。
例えば、住宅手当が家賃の半額で4万円だとすると、年間で48万円の補助が受けられることになります。給料の額面が同じだとしても手当や福利厚生を受けられると実質の給料額は大きく変わります。
社会的信用度が高い
数ある雇用形態の中でも正社員は社会的信用度が高いという特徴があります。正社員である程度の勤務実績があれば住宅ローンなどのお金が借りやすくなります。正社員の社会的信用度が高いのは、クビになるリスクが低く毎月一定の給料が振り込まれることや、いざとなった時に企業に守ってもらえる後ろ盾があるからです。
転職で有利になる場合がある
正社員の勤務歴は転職の際に有利に働くことがあります。正社員として勤務していた実績は、会社から一定の信頼を得て仕事を任されていたという証明になるからです。正社員はアルバイトに比べて裁量権が大きく、責任ある仕事を任される傾向にあります。そのため、正社員の勤務歴は面接でのアピールポイントになるでしょう。
出世や昇給のチャンスがある

出世や昇給が見込めることも正社員のメリットです。多くの会社では正社員が上の役職につき、契約社員やアルバイトが出世することは稀だと言えるでしょう。
契約社員やアルバイトでも勤務実績などによって時給がアップする可能性はありますが、正社員の昇給に比べると金額が小さい傾向にあります。出世や昇給の面では正社員が有利です。
正社員のデメリット
雇用や収入の安定など、正社員には他の雇用形態にはないメリットが様々あります。一見すると良い面ばかりに見えますが、人によってはデメリットと感じる部分も存在します。例えば、アルバイトなどに比べて責任が重いことや、業務内容によっては残業や休日出勤が発生することなどです。
ここでは、正社員のデメリットを詳しく見ていきましょう。
転勤や異動がある
正社員として勤務する場合、勤務地の変わる転勤や、配属部署や役職などが変わる人事異動などが行われることがあります。転勤や人事異動は従業員の適材適所の配置や、経験を積ませることで成長を促す目的があるのです。
正社員は終身雇用を前提としているため、会社には配置転換命令権があります。社員が配置転換や人事異動拒否した場合は懲戒の措置を取ることも可能なので、拒否することは難しいと言えるでしょう。
残業や休日出勤を課せられる
正社員には残業や休日出勤が課せられることがあります。正社員はアルバイトなどに比べて待遇が手厚い分、業務責任も重くなります。プロジェクトの納期が迫っている場合や、欠員などで人手が足りないといった場合には、残業や休日を返上しての対応を求められます。
責任が重い
正社員は他の雇用形態に比べて裁量権が大きい分、責任も重いと言えます。正社員は終身雇用を前提としており、会社への貢献を求められるため、もし仕事上でミスを犯した場合には何かしらの責任を取らなければいけません。
また、自分自身のミスだけでなく、派遣社員やアルバイトのミスによる責任も負うなど、管理者としての対応も求められます。
すぐに退職できない場合がある
正社員だと、退職時に会社から強い引き留めを受ける場合があります。本来会社を退職することは従業員の権利なので退職を願い出ても問題はありません。しかし、コストをかけて一人前に育てた社員に辞められることは会社にとって大きな損失です。そのため、会社側の対応によっては円満退社が難しいこともあります。
部下を育てる必要がある
正社員として組織に所属している以上、部下を育てなければいけません。会社が存続していくためには常に人材を確保することが必要です。新しく入ってきたばかりの社員は当然仕事を知らないため、誰かが教育を担当します。業務経験を持つ先輩として、部下である後輩を指導して育てることが求められるのです。
副業ができない場合が多い
就業規則で正社員の副業を禁止している企業も多くあります。企業が副業を禁止している理由は、社員の労働が長時間化することによる健康面に関する心配や、情報漏洩のリスク、人材の流出を防ぐためなどが考えられます。
会社からの給料だけで十分生活していける人であれば問題ありませんが、会社からの給料だけでは足りないという人にとってはデメリットになるでしょう。
非正社員のメリット・デメリット

非正社員とは、アルバイトやパート、契約社員など、正社員以外の雇用形態を指します。非正社員に向いているのは収入の安定や出世などよりも、プライベートを優先するなどワークライフバランスを大切にする人です。
自分がどちらに向いているかは以下のメリット・デメリットを参考にして確認しましょう。
非正社員のメリット
非正社員には、時間や規則などの制約が少ないという特徴があります。自由度の高い働き方ができるという点に魅力を感じて非正社員を選択する人も少なくありません。では、非正社員のメリットを一つずつ見ていきましょう。
仕事とプライベートを両立しやすい
非正社員は、正社員に比べて休みが取りやすく、ワークライフバランスを保ちやすいというメリットがあります。非正社員として勤務する理由で男女共に一番多いのが「自分の都合の良い時間に働けるから」というものです。出勤や残業などの強制力が弱いため、仕事よりも優先したいことがある人にとっては大きなメリットです。
転勤や異動がない
非正社員は短期雇用を前提としているため、転勤や異動が命じられることは基本的にありません。そもそも雇用契約の時点で勤務地を限定して採用している場合、会社は転勤や異動を命じることができません。転勤や異動がないというのは、自分の生活スタイルを変えたくないという人や、家族がいるから転勤できないという人にとってメリットです。
重い責任を負わなくてよい
非正社員は、正社員に比べて業務に対する責任が軽いことも特徴です。非正社員は短期雇用を前提としているため、重い責任の伴う業務や裁量権を与えられていない場合がほとんどです。
立場上、正社員のアシスタント的役割が多いため必然的に重い責任を課せられる機会は少なくなります。仕事に対するプレッシャーや精神的ストレスが緩和されるため、出世や昇給を求めない人にとってはメリットです。
退職しやすい
非正社員は、正社員に比べて退職しやすいという特徴があります。パートやアルバイトの場合、雇用期間の定めがある場合でも、体調不良や家庭の事情などやむを得ない事情があれば途中退職することができます。
派遣社員や契約社員の場合、契約期間が決まっているため次の更新時期まで満了する必要がありますが、話し合いによって途中退職できるケースもあります。
副業ができる
一般的に非正社員は副業が認められるケースが多いです。非正社員を選択する人の多くが、自由度の高い雇用形態に魅力を感じています。派遣会社などでは従業員の副業を禁止していることもありますが、許可を取れば副業OKとなる場合がほとんどです。非正社員で副業する予定がある人は、後々トラブルにならないよう、事前に就業規則を確認しておきましょう。
非正社員のデメリット
非正社員には、正社員に比べて給料や待遇面で劣るといったデメリットがあります。ここでは、非正社員のデメリットを見ていきましょう。
雇用が安定しない

非正社員は自由度の高い働き方ができる分、雇用が安定しません。アルバイトやパートなどの非正社員は「短期雇用」を前提としていて、働き続けるためには一定期間おきの契約更新をしなければいけないからです。
労働者側に働き続けたい意思があったとしても、雇い主である会社側が契約を打ち切ってしまえば仕事を続けることができません。そのため、非正社員の雇用は不安定と言えるでしょう。
収入が安定しない
毎月一定額が振り込まれる正社員と違い、非正社員は月ごとに収入が代わります。毎月の収入にばらつきがあるのは日給制や時給制が採用されているためです。日給制や時給制では働いた分しか収入に反映されません。祝日が多い月でも正社員であれば給料が変わりませんが、非正社員ではダイレクトに収入に影響します。
手当や会社の制度が利用できない場合がある
多くの会社では手当や制度を設けていますが、非正社員では対象とならない場合があります。会社独自の手当や制度は正社員を対象として作られているためです。会社への貢献度の高い正社員は優遇されますが、有期雇用である非正社員は優遇されにくい傾向にあります。
社会的信用度が低い
非正社員は、正社員に比べて社会的信用度が低い傾向にあります。どういった場合に影響するかというと、主に住宅ローンの借り入れやカードローンの契約などです。
無期雇用の正社員と異なり非正社員は有期雇用なので、長期間ローンを返済し続ける住宅ローンの審査には通りづらい傾向にあります。非正規でもカードローンを組むことは可能ですが、正社員ほど優遇は受けられません。
転職で不利になる場合がある
非正社員の経歴は転職時に評価されにくい傾向にあります。一般的に非正社員は、正社員に比べて仕事での裁量権が少なく、責任ある業務を担当できないからです。
そのため、キャリアを見たときに正社員としての経験がある方が好ましいと判断されることもあります。非正社員の経歴が長い場合、労働意欲が低いと判断されることもすくなくありません。
出世できない
非正社員には出世がありません。無期雇用を前提としている正社員と違い、非正社員は有期雇用でいずれ辞めることを前提としているからです。昇進を求めないのであれば非正社員でも問題ありませんが、昇進したい場合は正社員になるのが早道でしょう。
もちろん、非正社員でも仕事ぶりが認められれば正社員としてスカウトされたり昇進試験を受けられたりすることもあります。
まとめ

今回は正社員と非正社員のメリット・デメリットについて解説しました。正社員と非正社員のメリットとデメリットを簡単にまとめると以下の通りです。
■正社員のメリット
雇用や収入が安定していて、手当や研修制度などもあるため待遇がいい
■正社員のデメリット
残業や休日出勤があり、転勤や異動もあるため自由度が低い
■非正社員のメリット
休みがとりやすく、残業なども断ることができるためワークライフバランスを大切にできる
■非正社員のデメリット
正社員よりも給料や待遇が低く、契約更新されないリスクがある
条件や待遇などは会社によっても変わりますし、どちらがいいと一概に言えるものではありません。自分自身のライフスタイルに合った雇用形態を選択することをおすすめします。
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