これってパワハラ？転職を考えるときのチェックポイント

仕事の悩みで、よくある悩みのひとつに人間関係があります。特に最近ではパワハラに悩む人が増えており、パワハラが影響で体調を崩す人も少なくありません。パワハラは決して見逃してはいけません。パワハラに気付いたときは、転職を考えるのもひとつの手です。パワハラの6つの事例と、パワハラに気づいた時の対処法や解決方法を確認し、自分の職場に該当していないかをチェックしましょう。

パワハラかも？職場でこんなことが起こっていませんか

パワハラとは自分よりも立場が上の人に、業務の範囲を超えた苦痛を与えられることです。厚生労働省によると職場のパワーハラスメントの概念について、下記3つを満たすものをしています。

職場のパワーハラスメントの概念優位的な関係に基づいて行われること業務の適正な範囲を超えて行われること身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

引用：厚生労働省　平成30年10月17日雇用環境・均等局

たとえば上司が「優位的な立場を利用し」「業務の適正な範囲を超えて」「苦痛を与える」ことはパワハラにあたります。

では、どのような行為がパワハラにあたるのでしょうか。

パワハラに当てはまる行為は、大きく分けて6つの種類があります。

パワハラの種類身体的な攻撃精神的な攻撃人間関係からの切り離し過大な要求過少な要求個の侵害

これから6つのパワハラを事例とともにご紹介します。実際に職場や身のまわりで起こっていないか確認しましょう。

①身体的な攻撃

身体的な攻撃のパワハラ例上司が部下に対して殴る上司が部下に対して蹴る上司が部下に対して物を投げつける上司が部下を突き飛ばす

上記のように身体的な攻撃をされたことはありませんか。これは身体的な攻撃のパワハラであり、傷害事件にも該当します。

身体的なダメージはもちろん、恐怖心など精神的なダメージも大きくなります。日常的に続くようであれば、転職を検討した方が良いです。また、たばこの火を近づけたり、立ったまま電話営業をさせるなどといった行為も、身体的な攻撃のパワハラになります。

②精神的な攻撃

精神的な攻撃のパワハラ例人格を否定される長時間、𠮟責され続ける大声で威圧される

殴打などによる目に見える傷とは違い、目に見えない傷を負わせるパワハラもあります。それは精神的な攻撃です。

パワハラの中でも特に多いのが、このような精神的にダメージを与える攻撃です。精神疾患を患う人も多いため、なるべく早く転職など、パワハラをする上司から離れるようにしましょう。

③人間関係からの切り離し

人間関係からの切り離しのパワハラ例意図的に仕事から外す長時間にわたって別室に隔離無視して孤立させる仕事を教えない

上記のように職場の人間関係から、切り離しをするパワハラもあります。

これはいじめと同じ行為ですが、無視や仲間はずれがあまりにもひどい場合には、パワハラに該当する場合もあります。上記2つは上司からのパワハラでしたが、このパワハラは同僚からのパワハラにもなります。大人の社会であっても、このようなパワハラに遭う人は少なくありません。

④過大な要求

過大な要求のパワハラ例業務外の個人的な雑用の処理を押し付ける仕事量がひとりだけ多すぎる

過大な要求を行うパワハラも多くあります。

例えば新人に多い過大な要求として、教育を十分に行っていないにも関わらず、対応できない仕事を押し付け、出来なかった場合は厳しく叱責するというケースもあります。

これらのパワハラは達成できなければ、殴打などの肉体的な攻撃や厳しい叱責による精神的な攻撃など、複数のパワハラになるケースも少なくありません。

⑤過小な要求

過少な要求のパワハラ例仕事を与えない能力や経験が充分にある労働者に対し、敢えてレベルの低い単調な仕事を与え続ける

過大な要求とは逆に、過小な要求に分類されるパワハラです。

例えば、職場の人や来客者へのお茶汲みしかさせない場合も、過小な要求に値するパワハラになります。このパワハラは上司が気に入らない労働者に対して行う場合もありますが、既に退職が決まっている労働者に対して行うケースが多いです。

⑥個の侵害

個の侵害のパワハラ例個人情報を本人の了承を得ずにほかの労働者に漏洩勝手に私物を撮影する

上記は、「個の侵害」のパワハラになります。

プライベートな内容に過剰に踏み入ってきたり、情報を本人が知らないうちに漏洩されるなどの行為は、精神的苦痛や職場環境を害していることになります。

これらの行為は法律に違反する場合もあります。また男性から女性に対して個の侵害を行なった場合は、パワハラと共にセクハラに値する場合もあります。

パワハラに気づいたときの対処法

パワハラによる肉体的・精神的なダメージを少なくするためには、一人で抱え込まず誰かに相談することが大切です。最も身近な相談先は、社内の人事や社内相談窓口です。人事や社内相談窓口に相談することで、パワハラ上司から離れて、部署異動ができる可能性があります。

社内では相談しづらいという場合には、勤め先に最も近い労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談する方法もあります。労働基準監督署の総合労働相談コーナーは厚生労働省が設置している、労働者の悩みを相談することができる施設です。労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談する場合は、専門の相談員と面談するか、電話で相談する形になります。予約は不要、相談料は無料です。

ほかにも、法テラスで弁護士に相談することで、損害賠償の請求やパワハラ行為をやめさせる仮処分を求めることもできます。

転職という選択肢も

パワハラが長期的に続き、限界を感じている場合には、異動ではなく転職という選択肢もあります。ある調査によると、実際にパワハラを経験し転職した人の約70%が、転職して良かったと答えています。その理由として、「日々のストレスが減ったから」や「働きやすい職場を見つけ、自身の能力を生かせるようになったから」、「しっかり休みが取れるようになり、プライベートが充実したから」という声が多く上がっています。

転職という選択はパワハラから一刻も早く逃れることができます。その一方で「前の職場の方が労働環境や待遇に恵まれていた」、「転職先でもパワハラが存在していた」、「転職先の社風が合わなかった」など、転職したことがマイナスになったケースもあります。転職を検討する際には、転職先の社風や職場環境をしっかりと確認しておくことが大切です。

転職先にはパワハラをどう伝える？

転職活動をする際に、転職理由としてパワハラを受けたことを伝える必要はありません。

応募面接はあくまでも自身の魅力をアピールする場です。前向きな転職理由を伝えるように心がけましょう。

パワハラを受けていたということを伝える必要がある場合には、「個人的な攻撃ではなくほかの職員にも影響があり業務が円滑に進められなかった」と説明するのが無難です。個人的にパワハラを受けていたということを説明すると、本人の能力や業務に対する姿勢に問題があると捉えられてしまう恐れがあります。

よって基本的にパワハラを伝える必要はなく、伝えなければならない場合には円滑に仕事を行いたいという趣旨の説明を行うようにしましょう。

まとめ

パワハラは自分の責任ではなく、パワハラをする人に責任があります。一人で抱え込まず、周りの人や専門家に相談して少しでも早く現在の状況を変えることが大切です。現状を変える手段の一つとして転職という選択もあります。しっかりと転職先の社風を確認した上で、自分に合った新たな職場を見つけてください。