歯科助手の資格の難易度は?取得方法やメリットを解説
目次
歯科助手の仕事は歯科医師の助手だけでなく、受付から治療費の会計業務など多岐にわたります。全国には多くの歯科医院があるため絶えず募集しており、資格を取得すると転職に有利に働きます。この記事では、歯科助手の資格の難易度や取得方法などについて詳しく解説していきます。また、合格率や過去問の例題なども紹介していくので、歯科助手の資格取得について検討している人はぜひ参考にしてください。
歯科助手とは

歯科助手とは、治療をする歯科医師や歯科衛生士の助手をする人のことです。業務内容については、助手の他に予約や会計管理、器具の準備や片付けなどがあります。業務内容から見てもわかる通り、歯科医院には不可欠な存在です。
歯科助手は資格や経験がなくても職に就けますが、器具の準備や会計業務など覚えることがたくさんあるので、資格を取得して専門知識を身につけておいた方が転職には有利に働く可能性が高いでしょう。
歯科助手の目的
歯科助手の資格取得の目的は、業務能力を向上させることです。資格を取得することで、受付業務から診療報酬算定(レセプト)作成、診療介助や機器の保守など業務全般の知識と技能が身についていることが認定されます。
資格や経験がなくても職に就ける歯科助手ですが、資格を取得することで就職や転職に有利に働くだけでなく、知識や技能が身についた状態で職に就けるので、自信を持って仕事をすることができます。
歯科助手が持っていると有利になる資格には数種類ありますが、主な資格は下記の3つです。
歯科助手資格認定制度は日本歯科医師会が発行している民間資格で、甲種(420時間以上の講習)・乙種第一(52時間以上の講習)・乙種第二(40時間以上の講習)の3種類の資格があります。
資格取得には都道府県の歯科医師会が開催している講習(上記の講習時間)を受けることで修了証を発行してもらえます。講習は地域によって開催されていない場合があるので、お住いの都道府県歯科医師会に問い合わせてみましょう。
歯科アシスタント検定は全国医療技能検定協議会が発行している民間資格で、受験資格は特にありません。資格には3級~1級まであり、資格を取得すると歯科医療の基本的知識から薬学や口腔衛生など歯科医療に対する深い知識までを習得していることが証明されます。
受験料は3級3,800円、2級4,500円、1級6,300円です。試験の日程は公式HPでも掲載されていないため、協会に問い合わせる必要があります。
歯科医療事務管理士(R)は技能認定振興協会が発行している民間資格で、受験資格は特にありません。歯科医療事務管理士(R)は、レセプト作成や診療報酬など歯科医院における会計業務から事務作業全般を習得していることが証明できる資格です。
その他にも、歯科助手検定試験(医療福祉教育振興グループ)認定歯科助手(医療福祉情報実務能力協会)歯科助手専門員(全国医療福祉教育協会)など多数の民間資格があります。
どの資格も歯科助手にとって有利に働く資格ですが、ここからは歯科助手の経験がなくても取得可能で他業種からの転職にも有利に働く「歯科医療事務管理士(R)」の資格について紹介していきます。
試験日・実施会場
歯科医療事務管理士(R)の試験日は、奇数月の第4土曜日翌日(日曜日)です。
例:2021年5月23日(日)
申込み期間は試験日の2カ月前の1日~翌月の月末までです。
例:2021年5月23日(日)が試験日の場合、申込み期間は2021年3月1日~4月30日
試験の実施会場は全国の都道府県で開催されていましたが、2021年度は新型コロナウイルスの影響で当面の間は在宅受験です。
受験料は7,500円(税込)で、支払い後はどんな理由があろうとも返金はされません。また、申込み後のキャンセルや受験日の変更も不可のため、しっかりとスケジュールを確認してから申込みましょう。
受験者数
歯科医療事務管理士(R)の受験者数は明確に発表されていませんが、試験を実施しているJSMA技能認定振興協会の公式HPによると、2016年の受験者数は約2,000人と明記されていました。受験者の多くは女性で、無資格で歯科助手の職に就いてから本格的な知識を身につけたいと思った人が受験している傾向が見られます。また、歯科医院に就職や転職を希望している人や資格を取得してから就職活動をしたいと考えている人が多いようです。年齢層は、10代から50代までと幅広い年代の人が受験しています。
試験の難易度
歯科医療事務管理士(R)の試験難易度は低く合格率は平均で70%と高い水準で、初めて試験に挑戦する方でも1回で合格できる可能性が高い資格です。
合格基準は、以下の通りです。
(1) 実技試験/点検・各作成問題ごとに約60%以上の得点をし、且つ、3問の合計で約85%以上
(2) 学科試験/約85点以上
※実技・学科ともに合格基準に達した場合に合格と判定します。
実技試験:得点は問題ごとに持点を定め、正解の得点合計により判定します。ただし、全問題の得点合計が合格基準に達していても、いずれか1問の得点が60%未満の場合は不合格となります。
学科試験:得点は100点とし、正解の得点合計により判定します。
引用: 技能認定振興協会公式HPより
歯科医療事務管理士(R)の試験では点数表やテキストなどの持ち込みが可能で、見ながら問題を解いていけるため、しっかりと勉強して試験対策を行い1回で合格をめざしましょう。
試験内容

歯科医療事務管理士(R)の試験内容は、以下の通りです。
(1)実技試験/レセプト点検問題1問・レセプト作成問題2問(外来)
(2)学科試験/マークシート(択一式) …10問
※試験は現在使用されている医療保険制度・歯科診療報酬点数表等に基づいて実施します。
※各種資料や計算機などを参考にして答案作成が認められています。
※金パラ等の点数は、レセプトに記載してある点を使用します。
※学科…HB以上の黒鉛筆(シャープペンシル可)
実技…黒のボールペン(消せるボールペンは不可)
計算機を除く電子機器の使用は不可です。
医療保険制度などの法規や歯科診療報酬点数などの保険請求事務、生理機能などの医学一般に関する学科が10問、レセプト作成などの実技が3問の計13問が出題されます。試験時間は学科1時間、実技3時間の計4時間です。
下記に過去出題された過去問を例題として掲載しますので、参考にしてください。
法規
・問題例
医療事務担当者としての要件には、いろいろな条件が考えられますが、下記各項のなかで、法律的義務として最も重要なものを1つ選び、記号で答えなさい。
- 診療費の計算は、迅速かつ正確にできること。
- 受付の対応は、医療機関の評価に繋がるので、感じの良い接遇を心がけること。
- 業務に従事して知り得た「診療上の秘密」を他に漏らさないこと。
- 医療機関のスタッフと協調し、円滑な人間関係を持つことができること。
- 診療報酬の算定に必要な通達や疑義解釈の知識が豊富で、正しい算定ができること。
・求められる能力
医療保険制度の理解力
・出題頻度100%・重要度 高
法規
・問題例
次の各問について、関連のあるものを選び、記号で答えなさい。
- 社保のレセプト提出先
- 法別番号63で始まる保険者
- 医療保険に加入していることの証明
- 医療保険による診療行為
A.被保険者 B.現物支給 C.共済組合 D.診療報酬明細書 E.支払基金
F.国保連合会 G.現金給付 H.特定健保組合
・求められる能力
医療保険制度の理解力
・出題頻度100%・重要度 高
医学一般
・問題例
次の各問について、正しいすべての組み合わせを選び、記号で答えなさい。
略称に対して正式名称が正しいものはどれですか。
- RDT-捻転歯
- RCP-根管形成
- CDT-軟化象牙質検査
- Cl-鉤
- Ero-エナメル質形成不全
A.①② B.①⑤ C.②④ D.③⑤ E.①③④ F.②③④ G.②③⑤ H.①②④⑤
・求められる能力
生理機能 ・傷病の種類等についての知識
・出題頻度100%・重要度 高
保険請求事務
・問題例
次の各問について、正しいすべての組み合わせを選び、記号で答えなさい。
算定が正しいものはどれですか。
- 暫間固定の除去―1顎につき
- 根管充填―1歯につき
- 在宅患者等急性歯科疾患対応加算―3分の1顎につき
- 新製有床義歯管理料―1口腔につき
A.①② B.①④ C.③⑤ D.①③④ E.②③⑤ F.②④⑤ G.①②③④ H.②③④⑤
・求められる能力
歯科診療報酬点数の算定方法や医療用語などの知識
・出題頻度100%・重要度 高
資格が役立つ場面

歯科医療事務管理士(R)の資格を取得することで、主に下記の業務をスムーズに行うことができます。
・診療費(レセプト)の作成
・カルテに掲載されている診療や検査内容を見て診療費の計算が素早くできる
・診療費に関する質問を正確に答えることができる
歯科助手の仕事は医師や歯科衛生士の助手、器具の消毒などもありますが、主な仕事は受付と診療報酬の計算(レセプト作成)など医療事務です。歯科医療事務管理士(R)は医療事務に特化した資格なので、会計業務の場面で非常に役に立つ資格です。
おすすめ勉強方法
歯科医療事務管理士(R)の資格取得に向けてのおすすめ勉強方法は以下の2つがあります。
・通信講座を受ける
・独学で学ぶ
通信講座は約45,000円の費用が掛かるのがネックですが、スケジュール管理がしやすくわからない箇所は講師に質問できるなどメリットがたくさんあります。
一方の独学はテキスト選びからスケジュール管理などすべて自分で決めなくてはいけないので、決めた内容通りに勉強ができる方に向いている勉強方法です。
下記にそれぞれのおすすめテキストや過去問・問題集を紹介していきますので、参考にしてください。
テキスト
歯科医療事務管理士(R)の資格取得におすすめのテキストは、技能認定振興協会公式HPでも推奨している「ソラスト」の通信講座です。医療事務講座の歯科コースを申込むと、基礎から診療報酬請求技術を学ぶことができます。
講座費用は42,000円(税込)ですが、診療報酬請求以外の歯科助手に必要な基礎知識まで学ぶことができるため、歯科医療事務と歯科助手の両方が学べる講座になっています。また、定期的にレポート提出もあるため、一つずつ課題をクリアしていけます。標準学習期間は約4ヵ月で、歯科医療事務管理士(R)試験に特化した講座なので、合格率も期待できます。
また、歯科助手の仕事内容を勉強したい方は下記の書箱がおすすめです。
受付業務から器具の消毒や歯科の基礎知識、アシスタント業務全般や歯科治療の知識など覚えておくとスムーズな仕事が可能になる知識が得られる1冊です。
過去問・問題集
過去問・問題集については技能認定振興協会の公式HPで、過去に出題した試験問題の一部が掲載されていますので、参考にしましょう。また、ソラストで「技能認定試験問題集」の販売もしています。
・技能認定振興協会の公式HPに掲載されている過去問はこちら
・ソラストで販売している過去問題集はこちら
実技試験ではレセプト作成が2問とレセプト点検問題が1問出題されるため、レセプト作成を中心に過去問を解いていくと実技試験の対策ができます。実技試験は3時間なので、時間も気にしながら解いていきましょう。
まとめ

歯科助手は無資格でも職に就くことができる職種ですが、歯科医院に勤務するため医療用語や医療保険など、専門的知識が求められます。民間資格にはなりますが、資格を取得することで、歯科助手のスペシャリストとして自信を持って仕事に就くことができます。また、転職にも有利に働くので、歯科助手として働きたい人は資格の取得がおすすめです。
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