保育士の資格の難易度は?取得方法やメリットを解説
目次
保育士の資格には、年齢制限などなく、だれでも目指せる資格です。また保育士は需要も高く、保育士の資格を持つことでのメリットもたくさんあります。
この記事では、保育士の資格に興味がある人に向けて、保育士試験の概要や難易度、おすすめの勉強法についてまとめています。
ぜひ、資格取得の参考に役立ててください。
保育士とは

保育士は0歳~未就学児の子どもたちの生活全般のお世話を通して、子どもの成長において重要な役割を果たします。
保育士の資格を勉強することで、10人の子どもがいれば10種類のさまざまなケースに対し、好ましい対処が判断できるようになります。
保育士資格は制限がなくだれでも目指せるので、自分のライフプランに合わせて活用できる点が、資格取得のメリットともいえるでしょう。
保育士の目的
保育士とは、専門的知識及び技術を駆使して、子どもの保育や保護者への保育に関する指導をおこなう仕事です。
保育士資格を取得することで、子どもたちの身の回りのお世話や、心身の成長の促進などの保育業務、園の運営、事務作業、保護者対応などにおいて、十分な知識や技術をもっていることを証明できます。
そのため保育士として働くためには、保育士の資格の取得が必須です。
試験日・実施会場
保育士試験の日程は前期(4月)と後期(10月)の年2回実施されます。
保育士資格を取得するには学科試験と実技試験の2つに合格しなければいけません。幼稚園教諭免許など特定の資格を持っている人は、免除される科目もあります。
学科試験は2日間にわたって実施され、学科試験合格者は別日程の実技試験を受験できます。多くの場合、試験会場は大学や専門学校、地域の文化センターなどでおこなわれます。
受験料は受験手数料12,700円+受験申請の手引き郵送料250円=12,950円です。
受験者数
保育士試験の受験者数は、近年、増加傾向にあるようです。
実施年 | 受験者数 |
2019 | 77,076人 |
2018 | 68,388人 |
2017 | 62,555人 |
2016 | 70,710人 |
2015 | 46,487人 |
受験資格に年齢制限はなく、大学の卒業生から在学生、専門学生や通信制の学生、育児中の主婦など、さまざまな人が受験します。ただし学歴に応じて、受験資格の条件がそれぞれに定められているため、自分に受験資格があるかどうかは、全国保育士養成協議会のHPにて確認が必要です。
試験の難易度
保育士試験の全体の合格率は約20%と、難易度は高いです。実技試験の合格率が80~90%であることを踏まえると、学科試験で苦戦する人が圧倒的に多いでしょう。
学科試験の合格ラインは各科目6割以上なので、100点満点中60点以上(教育原理および社会的養護は50点満点中30点以上)、正解する必要があります。
学科試験は科目数が多いこともあり、出題範囲が広いことも試験の難易度をあげる要因でしょう。
試験内容

保育士試験の学科試験科目は、以下の9科目です。
- 保育の心理学
- 保育原理
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会的養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
ただし、幼稚園教諭免許や社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士などの資格をすでに保有している人は、免除申請をすることで免除になる科目もあるため、確認しましょう。
また実技試験は
- 音楽に関する技術
- 造形に関する技術
- 言語に関する技術
の3科目から、2科目を自分で選び受験します。それぞれの科目について、いくつか抜粋して出題傾向や過去問をみていきましょう。
保育の心理学(学科試験)
保育の心理学の科目からは、「保育の心理学」、「子ども家庭支援の心理学」及び「子どもの理解と援助」の内容が出題範囲です。
【平成31年前期過去問】 次の文は、人の発達に関する記述である。 適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A:生涯の発達的変化に影響を及ぼす要因として、人生のなかで出会う重要な意味をもつ個人的出来事があげられる。 B:発達に関して、子どもが活動を通して知識を構成していくという能動性を重視した構成主義として、ピアジェ(Piaget, J.)の発達理論があげられる。 C:成長は身体面の形態・構造の量的変化をさすのに対して、発達は心理・人格面の質的変化をさすとされるが、その区別は厳密ではない。 D:発達には個人差があり、それには2種類の個人差を理解する必要がある。一つは個人間差であり、もう一つは個人内差であり、一般に個人差というと後者をさすことが多い。 |

保育実践にかかわる心理学の知識や発達の基本原理についての、体系的な理解が求められます。生活と遊びを通して学ぶ子どもの経験や学習の過程、子どもの発達過程における心理や発達の特徴をしっかり理解しましょう。
保育原理(学科試験)
保育原理の科目からは「保育原理」、「乳児保育Ⅰ」、「乳児保育Ⅱ」、「障害児保育」及び「子育て支援」の内容が出題範囲です。
【平成31年前期の過去問】 次の文は、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」における「ねらい」の一部である。 1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらいとして、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A:自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。 B:保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。 C:様々なものに関わる中で、発見を楽しんだり、考えたりしようとする。 D:人の言葉や話などを聞き、自分でも思ったことを伝えようとする。 E:いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。 |

保育の意義及び保育の内容や方法についての、体系的な理解が求められます。
また、保育所・保育指針の内容や児童の保育と保護者支援など保育士の役割についてしっかり把握しておきましょう。また保育を巡る現代的課題に関しても問われるケースが増えているようです。
子どもの食と栄養(学科試験)
「子どもの食と栄養」の内容から出題されます。
【平成31年前期の過去問】 次の文は、「授乳・離乳の支援ガイド」(平成 19 年:厚生労働省)Ⅱ「離乳編」の「離乳の進め方」に関する記述である。 適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを 一つ選びなさい。 A:離乳が進むにつれて、卵は卵白(固ゆで)から全卵へ進めていく。 B:離乳開始の発達の目安として、つかまり立ちがあげられる。 C:離乳の開始前に果汁を与えることについては、栄養学的な意義は認められていない。 D:食事の量の評価は、成長の経過で評価する。 |

児童の食生活や栄養に関する基本的知識、保育における食育の基本についての理解が求められます。
子どもの健康的な食生活や、その意義、栄養の基本などを理解したうえで、現代の食生活の課題に対するアドバイスやアプローチについての見解を深めておきましょう。
造形に関する技術(実技試験)

造形に関する技術は、実技試験の課題で、内容は当日に提示されます。
45分の間に鉛筆や色えんぴつでA4の紙に、縦横19cmの中に描きます。
消しゴムなどの持ち込みは可能ですが、クレヨンやマーカーペンの使用はできません。
平成29年前期の過去問 【テーマ:給食の時間】 子ども3名以上と保育士1名以上場所は保育室表現の条件は給食の準備、食事中、片付けから選択 |
造形表現の技術の試験で求められるスキルは、保育士として必要な造形表現(情景及び人物等を豊かにイメージした描写や色使いなど)ができることです。
資格が役立つ場面
保育士の資格は年齢や性別に関係なく、取得を目指せます。そのため、第二の人生の目標として保育士受験を志す人もおり、子育てが落ち着いたあとのやりがいとして、保育士の資格を持っていると便利です。
また保育士は保育園以外にも、託児所・乳児院・児童館・児童養護施設・母子生活支援施設など、さまざまな施設で働くことができます。また働き方もさまざまで、正規職員のほか派遣やパート、フリーランスなど、ライフスタイルに合わせた職場を選択できる点も保育士資格保有者のメリットでしょう。
おすすめ勉強方法

保育士試験の難易度は比較的高いため、通信制や短期集中のスクールで戦略的に勉強する方法もあります。しかし時間や経済面の理由から、独学で試験に挑む人も多くいます。育児や仕事の隙間時間に独学で勉強し、合格する人もいます。
独学はモチベーションの維持が難しいことはデメリットですが、自分のペースで勉強できることや資格取得の費用が抑えられる点は大きなメリットといえるでしょう。ここでは独学で資格の勉強をする人に向けて、オススメの教材や過去問・問題集をご紹介します。
テキスト
まずはテキストをしっかり読み込みましょう。わからない箇所があってもとりあえず、最後まで読み進め全体像をつかみます。次に、わからなかった部分を重点的に、テキストを再度読みこんでください。
独学の場合、出題頻度の高い部分などをアドバイスしてくれる先生はいないので、くまなく理解していく必要があり、時間がかかります。9科目分あるため、できるだけ試験合格に特化したテキストを選ぶといいでしょう。
おすすめの教材 【紹介福祉教科書 保育士 完全合格テキスト 上下 2021年版】 |
過去問・問題集
テキストを読み、理解が深まったら過去問や予想問題にチャレンジしましょう。何度も繰り返し問題を解いているうちに、自分の苦手な範囲が洗い出せます。苦手な部分を復習しながら、さらに理解を深めていきましょう。
おすすめの教材 ユーキャンの過去問題集 解説が分かりやすいと定評のある教材です。 |
まとめ

保育士は、どんな職場を選ぶかによって仕事内容は異なります。子どもたちの成長をサポートできることや、雇用形態を自由に選びやすい点が特徴です。
保育士試験は比較的難易度が高いですが、独学でも合格できます。保育士は、子どもが好きで、柔軟な働き方をしたい人にオススメです。
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