システムアーキテクト試験の難易度や役立つシーンを紹介

転職をより有利に進めるためには、どんな自己アピールが有効なのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。転職活動をより質の高いものにするためのひとつの方法に、システムアーキテクト試験の合格があります。情報処理という実力が目に見えづらい分野では、とくにこういった実績が転職の鍵を握ると言っても過言ではありません。

ここでは、そんなシステムアーキテクト試験について、試験内容や難易度、実際に役立つ仕事などを詳しく解説していきます。

システムアーキテクト試験とは

システム開発をするうえでの上流工程作業といわれる、業務の分析や定義、外部設計などを行う上級技術者が対象者とされており、必要とされている情報システムのグランドデザインを設計し完成させる能力が求められます。

もともとは、1971年に始まった特種情報処理技術者試験を起源としており、システムエンジニア向けにプロダクションエンジニア試験の内容の一部を吸収し、2009年に出題範囲を拡大して現在のシステムアーキテクト試験のかたちとなりました。上級エンジニアとしての実力を測るひとつの指標となるため、合格すれば自分の実力の証明書代わりになります。

システムアーキテクト試験の受験資格と試験内容・難易度

それでは、システムアーキテクト試験を実際に受けるとなった場合の詳細を解説していきます。あくまでも上級エンジニアを目指す人向けに作られた試験ですので、何もせずに簡単に合格というわけにはいきません。まずは、システムアーキテクト試験の内容をしっかりと知った上で、準備や対策を入念に行って受験をすることが大切です。

公開されている試験の内容や、過去の合格率などからどの程度の問題が出るのか予想し、自分のレベルとしっかり照らし合わせておくことも必要になります。

システムアーキテクト試験の受験資格

システムアーキテクト試験では、年齢、学歴、職歴などによる制限は設けられていません。つまり受験を希望する人であれば誰でも受験することが可能なのです。

その代わりに、システムアーキテクトの業務と役割を円滑に遂行するために期待する技術水準が公開されていますので、試験前にはある程度水準をクリアできているかどうかを確認しておくといいでしょう。誰でもチャレンジできるというチャンスをしっかり活かしましょう。

システムアーキテクト試験の試験内容

試験は、「午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ」の4つの部門に分けられ、ほぼ丸一日かけて行われます。午前Ⅰは四肢択一の形式で出題され、全30問100点満点中の60点以上が合格となり、出題内容は、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の全分野から構成された考察問題や文章問題です。

午前Ⅱでも出題形式は同じく四肢択一、60点以上が合格基準となります。出題範囲は「コンピュータ構成要素・システム構成要素・データベース・ネットワーク・セキュリティ・システム開発技術・ソフトウェア開発管理技術・システム戦略・システム企画」の内容が出題され、午前Ⅰと出題範囲が重なりますが、午前Ⅱの方が問題の難易度は高くなるのです。

午後Ⅰ・Ⅱでは問題形式が記述式となります。午後Ⅰでは中規模の記述問題4題中2題を選択して解答する形式、午後Ⅱでは論文課題形式で3題出題され1題を選択して解答する形式が取られています。

システムアーキテクト試験の難易度

システムアーキテクト試験の近年の合格率は12.6%とされており、合格率の高い試験であるとはいえません。受験者の多数はシステムアーキテクト試験の下位区分とされるスキルレベル3の応用情報技術者試験や、スキルレベル2の基本情報技術者試験に合格できるほどの実力者のため、難易度は高めに設定されているのです。さらに、類似している他のスペシャリスト試験と違い記述形式の問題が設けられていることが難易度を高くしている要因でもあります。

システムアーキテクト試験では、たとえば午前Ⅰの点数が良くなかったから午前Ⅱでカバーしようということができません。午前Ⅰの時点で合格基準達しない場合、午前Ⅱは採点されず不合格が決定してしまうためです。全ての出題範囲をしっかり網羅し合格基準を満たすことが求められています。

システムアーキテクト試験が役立つ仕事

システムアーキテクト試験に合格すればどのような仕事に活かすことができるのでしょうか。希望している転職活動でどんなアピールポイントになるのかということは、転職活動の中で重要な要素のひとつです。

システムアーキテクト試験と関係する、「システムエンジニア」と「プログラマー」の仕事についてご紹介します。

システムエンジニア

システムアーキテクト試験合格したシステムアーキテクトには、顧客が描くビジョンを実現させるには、どのようなシステム構成にする必要がるのかを考える、という仕事が求められます。一般のシステムエンジニアが作業をするための基盤を構成する、仕事の核となる部分が任せられるのです。

そのため、責任の重い仕事ではありますが、ほかのシステムエンジニアをまとめるリーダー的な役割を請け負うことが可能になります。システムエンジニアという職種の経験者自体はかなり多く、それだけでの転職は実力が見極めにくいのでなかなか難しいのが現状です。しかし、システムアーキテクトとして働けるシステムエンジニアは貴重な人材ですので、転職をかなり優位に進めることが可能です。

プログラマー

プログラマーの仕事は、システムエンジニアが作成した設計をもとに、システム開発の実際の製造工程の部分を担当します。つまり、システムエンジニアが計画を練るのに対して、プログラマーはその計画通りに実際に作っていく人という役割なのです。システムエンジニアが素晴らしい設計を作っても、実際にシステムを構築するプログラマーの腕次第でシステムの良し悪しは変わってしまうというほど大切な仕事ですので、人材には実力が求められます。

システムアーキテクト試験に合格しているという実績は、その分野で人に指導できるほどの実力を持っているということを証明します。そのため、実力が求められるプログラマーの転職でも十分有効なアピール材料であることに間違いありません。

システムアーキテクト試験まとめ一覧表

システムアーキテクト試験は年に一度のみの実施となっています。合格率の低い難易度の高い試験になっているため、早めのうちからしっかり準備をしておきましょう。申込期間は毎年1月中旬から約1ヵ月間となっていますので、年に一度のチャンスを逃さないようにしっかり確認しておくことが大切です。

まとめ

システムアーキテクト試験は難易度の高い試験ではありますが、受験資格に制限のない誰にでもチャンスが与えられる試験でもあります。合格率が低い国家資格であることから、転職にはかなり有利なものであることは間違いありませんので、チャレンジを検討している方はぜひ合格を目指してください。過去問や出題範囲なども公開されていますので、しっかり勉強し、入念な準備を行うことで今後の仕事にとってもプラスになるはずです。

自分の実力を客観的に分析し、いつの受験がいいのかを決断することも重要です。妥協することのない満足できる転職にするために、今できることをはじめてみましょう。