正社員でも安心できない?コロナで見えてきたリスク
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コロナが流行っている世の中で、業績が厳しい企業も多々あります。正社員といえども、雇用にリスクが伴う状況です。ご自身の今後のキャリアのためにも、正社員の解雇状況や転職市場、リストラの前兆についてあらかじめ確認しておきましょう。
正社員の解雇状況

正社員の解雇状況は今のところかろうじて抑制されているようですが、今後については見当もつきません。
日本のリストラの手段として頻繁に使われるのが、希望退職募集です。希望退職募集とは通常の退職金に割増金を加算し、再就職支援会社のサービスを付けて募集する手法のことを指します。この希望退職募集が前年を上回るペースで推移しており、危険視する人も多いようです。
ただし、リーマンショック時の2009年当時よりは少ない数値となっています。これは国の雇用調整助成金によって保っている企業が多いからと考えられますが、今後は助成金の支給期限の終了も迫っているため、コロナの雇用に対するリスクは今後高まってくるでしょう。また2020年12月現在、コロナの感染者数が増加している点も気になります。
希望者退職者募集の企業が増えている
非正規雇用をはじめ、正社員に対しても希望退職者を募集する企業は少なくありません。特にコロナ禍では飲食業、宿泊業、小売業など一部の業界に著しい影響が出ているため、それらの業界では希望退職者を募集しているようです。中には、新卒で入社した後わずか半年で希望退職を迫られた人もいるそうです。こういった状況で業績が悪化してしまうのは仕方がないことかもしれませんが、このような状況に不満を抱いている人は多いです。
また、希望退職を募集する状況は中小企業のみならず、大企業にも及びます。たとえば三菱自動車や東芝など、日本人であれば誰しも知るような企業でも行われているのです。三菱自動車では11月中旬から国内の45歳以上の社員を対象とし、550人の希望退職を募集すると報じられました。また東芝でもシステムLSI事業の約770人の希望退職や配置転換を行うと報道されています。
正社員の転職市場
正社員でも仕事に対して不安を抱える世の中で、正社員の転職市場が拡大しています。これはある意味、リストラの予兆とも言えるでしょう。
エン・ジャパンの35歳以上のユーザー(2,822人)を対象に実施した「ミドル世代の『転職理由』実態調査」(2020年9月14日)で、「転職を考えたきっかけ・理由」がコロナ禍の転職市場を考えるにあたって参考になります。トップに次いで多かった回答が、「現在リストラや事業縮小に不安がある」というもので、全体の26%にも及びました。このうち、コロナ禍以後から検討し始めた人は21%もいるため、リストラされた人たちが徐々に転職市場へと流れていると考えられるでしょう。
転職者が増えているということで、業績が悪化した業界から業績が良くなった業界への人材の移動が起こりそうですが、簡単にはうまくいかないようです。例えばコロナによって逆に成長しているIT業界でも、実際の雇用状況はよくありません。エン・ジャパンの調査によると2020年4月以降はIT業界での未経験求人が減少しているそうです。コロナが逆に追い風となっているような業界でも、このような状況では積極的に投資ができないという意見が多く見られました。今後、人材移動はますます進んでいくと思われますが、受け皿となる業界も少ないため不安材料は増える一方です。
正社員でも解雇がありえると予想される理由

一般的にリストラに踏み切る前には前兆があると言われていますが、その前兆とは以下の4つです。
- 来期の新卒採用の抑制
- 残業代の抑制
- 役員陣の交代
- 大手企業の希望退職募集
コロナ禍でこのような前兆が見られる企業も少なくないため、正社員でも大量解雇のリスクが不安視されています。
まず業績悪化に陥ってしまった場合、固定費を中心とした経費削減がなされます。固定費とは具体的に社員の給与や残業代等が考えられるので、新卒採用や残業を抑えるように仕掛けます。コロナが流行った今年は問題がなくても、来年以降に影響が出ると考えられるでしょう。
また、役員陣が急に交代した場合は通常ではありえない状況だと考えられるため、リストラが行われる可能性もあるでしょう。経営方針を大幅に変更していることが考えられます。
最後の大手企業の希望退職募集ですが、大手企業が希望退職を募集するということは、その業界自体がダメージを受けていると考えられます。同業への影響も確実に出てくるため、覚悟する必要があるでしょう。
日本CHO協会のアンケートによると、新型コロナウイルスの影響が長期化することを想定し、採用人数の抑制や中途採用の凍結を検討していると答えた企業は半数以上に及びました。逆に、特に対策を講じる必要はないという回答は最も少ない数値でした。現在明らかに解雇状況が悪化していないことは決して様子見しているわけではなく、行動に着手している段階だと言えるでしょう。
来期の新卒採用の抑制

会社の業績が悪化した場合、固定費を削減するためにも来期の新卒採用を抑制します。今年は4~6月期の業績が悪い企業が多かったため、2022年度の新卒インターンシップの参加人数を縮小することを決定した企業もあるようです。ある住宅関連会社では2022年の新卒採用は半減すると予測しており、状況次第ではさらに減る可能性もあるとのことでした。
残業代の抑制
残業代も新卒採用の抑制と同様、会社にとっては削りやすい固定費に当たるので、苦肉の策として抑制されています。今年は在宅勤務が増えたこともあり、残業代自体は増えていませんが、在宅であっても定時には仕事を終えるように指示する会社が多いようです。
残業代と同様に出張費、交際費などの諸経費はできる限り削減しようという流れになっています。
役員陣の交代
会社で役員陣が突然交代した場合、重大な事態が起こっている可能性があります。単純な業績悪化であれば株主総会を経て役員の交代が行われるはずです。経営方針を変える必要がある場合、大規模な事業改革が実施される前に役員の交代が発生することが多いでしょう。改革の一環としてコロナの影響によるリストラも考えられるため、万が一役員陣の交代があった場合はリストラの前兆を覚悟する必要がありそうです。
大手企業の希望退職募集
上でも書いた通り希望退職募集が増えている状況は、リストラが発生していることとほとんど同義です。特に大手企業で希望退職募集が行われている場合、その業界全体がダメージを受けていると考えられます。トップクラスの企業でさえ業績が落ち込んでしまった状況であるため、他の企業も横並びで追随してしまう可能性があるでしょう。飲食業や旅行業など、業界的に厳しい状況の場合は自社オリジナルの工夫をして勝ち残っていくのか、そのままリストラせざるを得ないかの二択になりそうです。
まとめ

コロナによる解雇等の影響は、現在まだぎりぎりのところで踏みとどまっていますが、今後どうなるかわからない状況です。実際に希望退職者募集を始めている企業も複数あるため、非正規雇用に限らず正社員にもリスクがあると言えるでしょう。ご自身の会社や業界がどのような状況なのかを冷静に判断し、今後のキャリアについて考えていく必要がありそうです。
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