セクハラされたら転職？相談？それぞれのメリットとケース別対処法

職場でセクハラされている場合、どう対処すればいいか分からなくて悩んでいる人もいるでしょう。セクハラといっても加害者や被害の内容はさまざまで、ケースによって適切な対処法は異なります。また、転職することを相談するにしても、気をつけるべき注意点がいくつかあります。ケース別の対処法や転職時の注意点を理解しておきましょう。

職場で受けるセクハラってどういうことを言うの？

セクハラというのは、職場で受ける性的な嫌がらせのことです。なお「職場」には、普段勤務しているオフィスだけでなく出張先や業務中の車内、業務の延長である宴会なども該当します。

セクハラは、「男性が女性に対して行う」というイメージを持っている人もいますが、被害者は女性だけではありません。男性が被害者になることも十分に考えられます。加害者になる人も性別は関係なく、女性が加害者になることもあるでしょう。

また、セクハラは単なる嫌がらせで片付く問題ではなく、「人権侵害」でもあるのです。そんなセクハラは、大きく分けて2種類に分類できます。1つ目は「対価型セクシュアルハラスメント」、2つ目は「環境型セクシュアルハラスメント」です。

対価型セクシュアルハラスメント

対価型セクシュアルハラスメントとは、性に関する要求などを上司・先輩などが行うものです。また、対価型セクシュアルハラスメントは、さらに「代償型」や「報酬型」、「地位利用型」に分けられます。

代償型というのは、「要求に応じれば評価を上げる」という条件で関係を強要したりするケースです。報酬型というのは、性的な要求を断ることで降格されたり解雇されたりするケースです。そして地位利用型は、相手が自分より下の立場であることを悪用して性的な関係を要求することを指します。

環境型セクシュアルハラスメント

環境型セクシュアルハラスメントとは、職場環境が悪くなりその職場で働くにくくなることです。その原因が、職場の人の性的な嫌がらせなのです。職場の人が露骨に性的な関係を迫ったりするわけではありませんが、言葉や行動などで「会社に行きたくない」、「セクハラする人と会うのが苦痛だ」などと思わせます。

また、環境型セクシュアルハラスメントは、さらに「発言型」や「身体接触型」、「視覚型」に分類できます。発言型とは、卑猥な話をしたり身体のことについて質問したりすることです。身体接触型とは、胸や腰といった身体に触ったり抱きついたりすることです。そして視覚型は、宴会で裸になったり会社にヌードポスターを貼ったりすることを指します。

セクハラが原因で転職、どんなことがあったか

セクハラといっても、実際に被害を受けたことがある人の被害内容はさまざまです。たとえば、身体を触られる・言葉によるハラスメント・プライベートな質問を繰り返される・性別で仕事を拒否されるなどです。「エレベーター内や出張先で上司に抱きつかれる」、「給湯室で同僚が執拗に身体を触ってくる」などは、身体を触られるセクハラの事例です。

言葉によるハラスメントやプライベートな内容の質問としては、「オフィスで卑猥な話をされる」、「恋愛経験をしつこく聞かれる」などが挙げられます。また、「上司に『女は若くないと価値がない』と言われた」、「性的な噂話を意図的に広げている人がいる」といったケースも考えられるでしょう。

さらに、「男性だからという理由だけで業務内容の変更を要求される」などの被害を受けることもあります。他にも、「宴会で男性社員が服を脱がされた」、「自分の性的指向について勝手に公言された」といったケースもあり、転職のきっかけとなるセクハラの内容は多岐にわたります。

職場でセクハラを受けた時はこう対処する

職場でセクハラを受けた時に大切なことは、一人で抱え込まず信頼できる誰かに打ち明けることです。社内の人には言いたくないと感じる場合は、外部の機関を頼っても大丈夫です。しかし、「相談しても解決できそうにない」「もうその職場にいることができない」などと感じる場合は、転職するという選択肢もあります。

職場の上司や同僚、社外の相談窓口へ相談

上司からセクハラを受けた場合は、まず同僚に相談するのがおすすめです。仲の良い同僚や信頼できる同僚であれば、話しやすいでしょう。味方になってくれる人を見つけて、辛い気持ちや悩みを一人で抱え込まないことが大切です。

セクハラしてきたのが同僚のケースでは、上司に相談するのがおすすめです。自分で加害者に「やめてほしい」と伝えるのは勇気がいることですし、自分だけで解決しようとするとトラブルに繋がる可能性も高いです。従って、上司に相談してから上司も交えて話し合いの場を設けてもらいましょう。

職場で話し合うことで解決するケースもあるため、まずは誰かに悩みを打ち明けてください。同僚や上司に話しておけば、再度セクハラが起きた時に証人になってくれることも考えられます。

しかし、相談や話し合いでは解決できないこともあります。その場合は、まず社内の相談窓口を利用してください。中には、ハラスメント専用の相談窓口が設置されている会社もあります。

それでもなおセクハラが続く場合や解決しない場合は、相談機関を頼りましょう。たとえば、労働基準監督署の「総合労働相談コーナー」で相談することが可能です。

転職を検討する場合

社内でさまざまな人に相談しても解決できない、社外の窓口や機関を頼ってもセクハラが続くといった場合は、転職を検討することもおすすめします。そのような環境で仕事をするとストレスが溜まりますし、自分の能力を最大限発揮できません。セクハラをするような上司や同僚と、顔を合わせるのが嫌になる可能性も高いでしょう。

なお、セクハラされたことで退職した場合は、「特定受給資格者」に該当する可能性があります。セクハラされた人は、自分の都合だけで退職したわけではないからです。また、特定受給資格者に該当すれば、失業給付を受けられる条件が緩和されます。

特定受給資格者の範囲は以下の通りです。

• 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者
• 事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者

転職した理由を話すときに注意したいこと

セクハラ被害が理由で転職した場合、面接時にネガティブなことを話さないようにすること・前の会社で働いたことで得たスキルや自分のキャリアを強調することを意識してください。

ほとんどの面接や面談では、担当者から退職理由を質問されます。多くの人が考える理由としては、「キャリアアップしたい」などの前向きなものと、「セクハラやパワハラを受けた」などのネガティブなものがあります。採用担当者に気持ちになって考えると、やはりポジティブな理由による退職のほうが印象は良いものです。もちろんセクハラ被害者は全く悪くないですが、セクハラされたことで退職したという事実に悪い印象を持つ担当者もいます。従って、セクハラをされた事実や内容などはあまり話さないようにしましょう。

退職理由ではなく、前職でどのような経験をしてどんなスキルを身に付けたのか、今後どのようなキャリアを思い描いているのかを強調するのがおすすめです。嘘をつく必要はありませんが、前向きなエピソードも絡めてみてください。

まとめ

セクハラにはさまざまな種類がありますが、どれも重大で深刻な問題です。従って、一人で対処しようとせずまずは周りの人に相談してください。しかし、残念ながら相談しても解決しない場合もあります。セクハラを受けるような環境で仕事を続けるのは精神衛生上よくないため、転職することも検討してください。新しい環境に変えることで楽しく働くことができるでしょう。