派遣の女性の平均年収｜年代別に紹介

比較的自由な働き方ができるため、派遣だとワークライフバランスを図ることができます。「個」が重視されるいま、自分らしく働くための雇用形態のひとつとして、派遣という働き方が見直されつつあります。しかし気になるのは収入面でしょう。派遣女性の平均年収や、女性の年代別平均収入についてもきちんと知ったうえで、自分らしい働き方を考えてみましょう。

派遣社員の平均年収

厚生労働省発表の『平成30年賃金構造基本統計調査』によると、派遣社員の平均年収は約328万円とのことです。月収に換算すると約27万円となります。

年代別にみる女性の平均年収

ここでは、女性の平均年収を年代別に見ていきましょう。

国税庁による『平成30年分民間給与実態統計調査』をもとにして作成した、女性の平均年収の推移は以下のとおりです。

10代の平均年収が低いのは想像がつくかと思いますが、20代～50代までの平均年収がほぼ横ばいになっているのは意外に思われる人も多いのではないでしょうか。まだまだ年功序列を採用している会社の多い日本ですが、女性に限定して数字を見てみると、年齢と収入が比例していないことがわかります。

10代女性

統計調査によると、10代女性の平均年収は約114万円です。月収に換算すると10万円を超えないほどになります。10代というと正社員の割合も少なく、正社員で働いたとしてもまだまだ収入が低い時期です。全体で比較しても低い数値なのは当然の結果といえるでしょう。

注目すべきは、20代後半以降から大幅な増加が見られないことです。全体の平均年収と比較すると、女性の年収では年収額の増加幅の少なさが顕著になります。結婚・出産・育児によって、継続的なキャリア形成が難しいのがよく問題視されていますが、それが年収という数字に現れていると考えてよいでしょう。継続が難しいために、昇給昇格のチャンスを掴みにくいこと、それに伴い女性の管理職が少ないことも背景として挙げられます。

20代女性

20～24歳の平均年収は約249万円、25～29歳では約326万円です。20代後半が、女性にとって大きく年収アップが見込める時期だというのがわかります。また、20歳と29歳の間には実に約111万円もの差があります。

20代前半は、ほとんどの人がまだ働き始めたばかりの時期です。そのため、高い年収は期待できませんが、この間にしっかりスキルアップしているか否かが20代後半の年収に影響するでしょう。また、20代後半ではこれまでのキャリアやスキルを活かし、よりよい待遇や条件の会社で働くために転職を考える人が多くなります。今後の生き方を考えたとき、条件とするのは収入面だけでありません。育児休暇制度が充実しているかどうかなどを重視する人も多く、ライフプランとともにキャリアプランを考えるタイミングでもあるということです。

30代女性

30～34歳の平均年収は約315万円、35～39歳は約314万円でほぼ増加が見られません。これは、30代女性が今後のワークライフバランスを考える時期となるためです。

30代は、結婚や出産、育児により退職したり転職したりする人、同じ会社で働き続ける人など、キャリア形成の仕方に大きな違いが出てくる時期です。生き方の選択肢に合わせた働き方を選ぶタイミングでもあります。同じ会社でキャリアを積んだり、好待遇の会社へ転職したりすることで収入アップする女性も決して少なくありません。しかしその一方、人生の転機に合わせて派遣やアルバイト、パートといった新たな働き方を始める女性も多くなります。その違いが生じることが、30代女性の平均年収が右肩上がりとならない理由と考えられます。

40代女性

40～44歳の平均年収は約319万円、45～49歳は約313万円です。30代と同様に前半から後半にかけて増加が見られず、30代の平均年収と比較してもそう大きな増加とはなっておりません。40代で月収が約27万円と考えると、少ないと感じる人もいるのではないでしょうか。

当然、40代になると役職につく女性も多く、特に20代から継続して働き続けている人の場合は男性と同じくらいの高収入を得ているケースもあります。とはいえ、女性の場合は年収の増加幅が小さいのが現状です。子育てが一段落するタイミングで40代になって仕事復帰する人も多くはなりますが、20代、30代の頃と比較して年収が少なくなることもあります。

50代女性

50～54歳の平均年収は約322万円、55～59歳では約298万円です。前半から後半にかけて収入が下がり、このあと60代以降も減少していきます。

平均年収でみると、20代後半の326万円というのが最高額でピークを迎えます。40代前半、50代前半で少し増加が見られるものの、全体を通してはほぼ横ばいという印象です。

今も、日本の会社の給料システムは年功序列制が広く採用され、年齢が上がるごとに役職がつき収入が上がるのが一般的です。しかしそれは同じ会社で勤務を継続した場合のことであり、結婚や出産により離職や休職を選ばざるを得ないこともある女性は、継続したキャリア形成が難しくなります。それが年収増を阻む大きな要因といえるでしょう。

女性の年収格差

年収格差の要因には、ワークスタイルの多様化が挙げられます。

男性の場合、年功序列制により定年の60代を迎える前まで順調に収入を上げていく人が多い一方、女性の場合は20代後半以降の年収はほぼ横ばいになっています。これは、先にも述べたように、各世代で生じる女性のライフスタイルの変化によるものです。女性の生き方に応じて働き方の選択肢も変化し、収入面にも大きな影響を与えます。

年収格差については、男性と比較した場合にかかわらず、同じ女性間でも大きな格差が生じます。何かとライフスタイルの変化が生じやすい女性は、その選択肢によって働き方も変化させなくてはならない場面が度々訪れます。その度に退職したり転職したりすることにより、女性間でも生き方の違いによって収入面に差が現れるのです。

女性の年収格差が広がる背景には、ワークスタイルの多様化とともに雇用形態の多様化もあります。正社員以外の雇用形態として挙げられるのは、パートやアルバイトのほか、契約社員、派遣社員などです。

なかでも派遣社員の場合、雇用期間や勤務時間の希望が出しやすいため、結婚や妊娠、育児など女性の人生の転機に合わせて働けるのが特徴です。ワークライフバランスを整えやすいため、派遣女性という生き方は、キャリアチェンジを余儀なくされる可能性の高い女性に適していると考えられます。

まとめ

派遣社員の平均年収を多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれですが、派遣という働き方は女性の生き方に適していると考えることができます。ライフスタイルが変わりやすい女性にとって、派遣女性として活躍する方がさまざまな転機にも対応しやすく、高収入を得やすい場合もあるでしょう。