派遣社員は面接無し？採用の決め方を解説

転職活動において面接は大きな関門です。しかし派遣社員になると面接がありません。採用において面接無しなのはなぜか、不思議に思う人も多いのではないでしょうか。派遣社員に対して企業が面接できないのは理由があるのです。

それではどのように採用を決めているのでしょうか？採用基準やポイントを把握して、企業に採用されやすい派遣社員を目指しましょう。

派遣先企業が面接できない理由

派遣先企業は派遣社員を面接で選考することはできません。これは労働者派遣法においても、明確に定められている決まりです。派遣先企業が派遣社員の面接ができない理由には、雇用関係があります。派遣社員は派遣先で仕事はしますが、派遣先企業に雇用されるわけではなく、あくまでも雇用しているのは派遣会社です。

派遣社員を守るという意味においても、派遣先企業は派遣される社員を面接できないことになっています。また、面接だけでなく、派遣先企業がしてはいけない禁止事項もあるので、派遣社員として働くのなら知っておいた方がよいでしょう。 

雇用関係

派遣先企業が派遣社員を面接できない理由の一つは雇用関係です。派遣社員は派遣会社に雇われている立場です。派遣社員のスキルや要望などを把握し、仕事先を選ぶのは派遣会社です。給与の支払いも派遣会社からです。派遣先企業は、派遣社員を雇用しているわけではないので、給与の支払いもしません。できるのは仕事について指示・指導をすることだけです。

もし、派遣先企業が面接など選考をした場合は労働者派遣法における違反となるので、派遣先企業には行政指導などが行われます。さらに、そのことで派遣社員に損害などが生じた場合は、派遣先企業がその責任を負うことになります。 

就労機会の保護

派遣先企業が面接ができないのは、派遣社員の就労機会を守るためでもあります。派遣先企業が面接をすることになれば、能力を正当に見る前に、見た目や年齢などで判断される可能性があります。仕事をしてスキルを見せる前に、仕事をする機会を失ってしまうことになります。そういったことがないよう、派遣先企業の面接は禁止されているのです。

例外として紹介予定派遣は、直接雇用が前提なので、面接が認められています。 

派遣先企業の禁止事項

・履歴書の提出

履歴書や職務経歴書などを提出させるのも禁止されています。そうはいっても、派遣先企業にとっても多少の情報は得ておきたいものです。そこで多くの派遣会社で利用しているのがスキルシートです。職歴や資格などが書かれているもので、派遣社員のスキルがおおよそ分かります。ただし、個人情報は知られないような内容になっています。

・限定募集

年齢や性別など限定して選考することはできません。年齢の制限は雇用対策法の違反になり、性別の限定は男女雇用機会均等法の違反になります。年齢や性別を理由に選考しないのは、派遣社員だけでなく正社員の採用においても同じことです。

・適性検査

企業側としては会社に合った人に働いてもらいたい、と思うものですが、適性検査など能力を判断するテストはできません。派遣社員は採用される段階で試験などを受けることはありません。 

採用は職場見学などで決まる

派遣先企業は面接や試験などはできませんが、職場見学や顔合わせによって派遣を受け入れるかどうかを判断します。もちろん、職場見学や顔合わせが選考の機会となるのは違反行為です。しかし派遣先企業も何の情報もないまま採用するのは、不安なものです。

派遣会社がいくら優秀でも、企業側にしかわからない判断基準もあるでしょう。ミスマッチングなどがおこれば、派遣先企業だけでなく派遣会社にとってもマイナスです。

そこで職場見学や顔合わせなどを利用するケースがあります。繰り返しになりますが、それは違法行為となるのであからさまに選考の場とはなりませんが、職場見学や顔合わせでの言動や振る舞いなどは、その後の進展に影響がないとは言えないでしょう。派遣される方は、それを踏まえたうえで、職場見学にのぞむことが必要です。

職場見学の流れ

派遣される側としては重要な職場見学ですが、まずは派遣会社スタッフとの打ち合わせがあります。日程の調整や業務の説明を受けるので、いきなり企業に行くということはないので安心です。不安な点があれば、職場見学に行く前に確認しておくとよいでしょう。

基本的には、派遣先の業務の説明、自己紹介、職場見学、質疑応答という流れで行われます。面接ではないので、面接時のような質問はされないことになっています。職場見学は、あくまで派遣社員が職場を知るためのものです。 

日程調整・業務説明

スケジュールを合わせ、派遣会社の担当者と打ち合わせをします。派遣予定の企業の業務内容や就業例などを聞き、職場見学をするかどうかを決めます。職場見学は派遣される側が確認するもので、必ずしも必要なことではありません。不安な点や迷ってしまった場合は、担当者に相談して決めるとよいでしょう。

自己紹介・打ち合わせ

職場見学は派遣会社の担当者が同行してくれます。会社に着いたら、職歴や派遣歴など簡単な自己紹介をします。企業の担当者からは、スキルの確認などをされることもあるでしょう。個人情報などを聞かれることはありません。できれば自己PRができるとなお良い印象を与えることができます。面接ではありませんが、あいさつははっきりと元気な声で、会話をする際には笑顔を心がけることが大切です。

職場見学・質疑応答

職場見学では自分が働くことをイメージしながら、確認するとよいでしょう。どのような雰囲気か、スタッフ同士の会話は多いか、派遣社員として具体的にどのような環境で仕事をするのかを確認することが大切です。また、派遣後、どういった人から指導を受けるのかなども知っておくと安心です。不明な点などはタイミングを見て質問するとよいでしょう。 

採用されるポイント

採用されやすい人のポイントを挙げてみましょう。

• きちんとあいさつができる
• コミュニケーションが取れる
• 表情が明るい
• 身だしなみが整っている
• やる気がある

あいさつはコミュニケーションの第一歩とも言える大切なことです。明るく元気にあいさつができる人は好印象を与えます。社内も明るくなるでしょう。大声を張り上げる必要はありませんが、はっきりした口調であいさつをしましょう。

仕事をするうえでコミュニケーションが取れないと、業務がスムーズにいかないだけでなくトラブルの原因になります。会話のキャッチボールができる、相手の話をきちんと聞いている、などコミュニケーションスキルが高い人は採用されやすいです。反対に、否定的なことを言ったり、自己主張ばかりしていたりすると扱いにくいと思われて採用されにくいでしょう。

不潔な人に対しては採用を考えてしまうこともあるでしょう。また個性的すぎる服装や髪形も、会社に合わないと判断されやすいです。女性ならナチュラルメイクで髪をまとめる、男性ならヒゲの剃り残しなどがないなど、清潔感のある人の方が採用されやすいです。

仕事に対するやる気が感じられる人は頼もしいものです。興味のあることは質問したり、未経験でも挑戦してみたいことなどをアピールしたりするのも、やる気を感じさせます。仕事をしっかり、責任を持ってやり遂げてくれると感じられる人は採用されやすいでしょう。 

まとめ

派遣先企業は派遣社員を面接することはできません。しかし職場見学や顔合わせをすることで、人材をチェックしているものです。採用されやすいのは、明るく、やる気のある人、コミュニケーションスキルがある人です。面接ではないとはいえ、身だしなみは整え、清潔感を大切にしましょう。企業によって求める人材は異なるので、アピールした方が良い点や注意点などを、派遣会社の担当者に確認し、アドバイスをもらっておくのもおすすめです。