派遣の夫が妻の産休に備えるべきこと
目次
働き方改革の現代、「産休・育休」に対する国や会社の考え方が変わってきています。ここ数十年、労働基準法や男女雇用機会均等法など、労働における法律の整備が行われてきました。少子高齢化の現代において、生まれてくる子供たちはこの国にとって「宝」です。
日本の国民所得は横ばい続きで、苦しい生活環境の中で子育てを余儀なくされている方やこれから子育てをされようとしている方も少なくないでしょう。制度を理解することは、会社に対して要求できたり、会社を選ぶ際の判断材料になったりします。国の制度をしっかり理解して、今後の生活に活かしていきましょう。
夫が妻の産休に前に知っておくべきこと

まずは、産休・育休制度をなぜ知っておいた方がいいのでしょうか。それは、産休・育休期間中は健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料が免除になるためです。知っているのと知らないとでは大きな差です。
・産休制度
出産育児一時金42万円(子供一人当たり)、場合により出産手当金の支給(平均30万円前後)の支給があります。
・育休制度
育休期間180日目まで給料の67%、181日目以降は50%が雇用保険から支払われます。
・所得控除
収入が減る分、配偶者控除・配偶者特別控除が受けられる可能性があります。また、産休・育休中の期間の給付金や手当金は所得換算されませんので、納税額も下げられます。
産休制度
産休制度は、正社員やパート、契約社員など雇用形態に関わらず、出産するすべての人が取得できる制度です。出産のための準備期間と、産後の身体回復のための期間となります。適応期間は、出産予定日の6週間前から、 産後の翌日から8週間です。
産休は、労働基準法で定められている制度です。会社は、労働者の権利を尊重する必要があります。なお、産前・産後休業期間及びその後 30日間の解雇は法律で禁止されています。
取得条件と手続き方法

取得の条件としてはまず、健康保険に加入していること、そして出産予定日の6週間前まで雇用が継続していることです。
妊娠を理由にした解雇は法律で禁止されていますが、実際にそういったケースも起こっています。ただ、派遣元の会社が直接雇用状態にあれば、産休を取得できます。
派遣社員の実際の雇用関係は、派遣先ではなく派遣元との間にあるため、派遣元の会社が解雇しなければ取得は可能です。働く意思があることをきちんと示せば、基本的に会社は解雇できません。
産前休業の取得には「産前・産後休暇願届」による申請が必要です。しかし、産前に関しては本人の希望により出産直前まで働き続けることは可能です。
産後は、通常出産の翌日から8週間は就業することはできません。これは法律で定められています。ただし、産後6週間経過後に、医師が認めた場合に限り就業が可能です。
産休をとるための手続きは会社によって異なりますので、直接確認してください。そして、妊娠がわかったら早めに会社に報告して、双方で話し合いすることをお勧めします。
休みの期間
産休は、産前休業と産後休業の二つからなっています。
産前休業とは、出産予定日を基準として出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、会社に申し出ると休むことができる制度です。しかし、妊娠の経過に問題がなく、本人が働きたい意志があれば産前休業をとらずに出産直前まで働けます。
産後休業は、出産の翌日から6週間~8週間休むことができる制度です。労働基準法によって、会社に対して法律で働かせることを禁止しています。ただし、産後6週間を過ぎている場合で、医師が認めるときは早期に職場復帰することもできます。
また、出産日が予定日より遅れた場合でも、出産日の翌日から産後休業8週間は取得ができます。逆に、出産予定日より早く出産した場合には、産前休業は短くなり、そこから8週間の産後休業となります。
育休制度

育児休業(育休)は産休と異なり、性別を問わず夫婦(男女)で取得できます。子供が1歳になるまで、もしくは2歳になるまでの一年間で取得可能です。夫婦どちらも取得を希望する場合は、合わせて最長1年2か月間の取得が可能です。
育児休業は、法律によって育児に対する労働者を保護する為の制度です。1995年から全ての事業所に対して義務化されています。労働者から申し出があった場合、会社は育休を取得させる義務があります。
取得条件と手続き方法
育休取得の条件としては、育児休業取得を申し出る時点で、入社が1年以上の会社で、原則として1歳に満たない子供を養育する場合です。そして、継続的に雇用契約がある場合(子が1歳6か月以上)です。仕事の契約に関しては、派遣先もしくは派遣元があなたを直接雇用しておいてくれるという条件が必要です。
派遣先の会社が、育児休暇後も復帰を希望する場合となりますが、これは現実的には稀なケースです。妊娠したら派遣先企業は契約を打ち切るのが普通です。
派遣元の会社との直接契約で雇用状態を維持してくれる場合、派遣先との契約が切られても育休を取ることができます。 最近では法律が厳しくなり、出産を理由に契約を切ることが法律で禁止されているため、出産することをきちんと伝えれば、良心的に対応してくれる会社も増えています。
手続きとしては、1ヶ月前までに育児休業申出書を会社に提出すれば、2週間以内に「育児休業取扱通知書」の受取りができます。「育児休業取扱通知書」には育児休業申出を受けた旨、育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日、育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由などが記載されています。
休みの期間
育児休業の期間は、子が1歳に達するまでを原則とします。しかし、状況によっては最長で2歳に達するまでの延長が可能となっています。入る保育園が見つからない、保育を予定していた人が病気や怪我などで育児ができないなどの状況が、その条件にあたります。
男性側の期間についても、配偶者の出産日当日が休業開始日となり、子が1歳の誕生日の前日までの期間が適応されます。
育児休業制度の利用率に関しては、女性の取得率83.0%に比べると男性は7.5%(2019年・厚生労働省調べ)とまだまだ低水準です。しかし、年々取得増加の傾向にあります。
扶養控除
産休中・育休中は、控除を活用して節約しましょう。下記の育休中・産休中の給付は、課税対象に含まれません。
- 出産一時金
- 出産育児一時金
- 育児休業給付金
- 退職後の求職者給付金など
そして、扶養控除は一人にあたりの金額で設定されます。扶養親族が増えた場合、扶養者の収入から「扶養控除額」を差し引くことで、税金の計算に用いる課税所得が引き下げられます。そのため、扶養家族が増えるということは税負担が減るということです。
生活にかかる費用が増える分、国が税負担を控除してくれということです。育児休暇・休業の場合、自治体によっては住民税が減額・免除される地域もあります。自治体によって控除の仕組みは多少の違いがある場合があります。詳しくは各自治体へ直接問い合わせしてみるのが一番でしょう。
まとめ

産休・育休制度を利用するメリットについてご理解いただけましたでしょうか。扶養控除の申請も忘れずに行ってください。
派遣社員が育休制度を要求することはあまり聞かない話で、制度が使えることも知らない方が多いと思います。リスクがあることも念頭におく必要があるでしょう。
雇用先の会社との信頼関係がなければ、会社側としてもなかなか受け入れ難いところもあるでしょう。その点を理解した上で、検討すべきです。ただ、産休・育休制度は国が認め推奨する制度です。上手に使うことができればメリットが多いのは確かです。
産休・育休制度は働く人にとっての権利でもあるため、派遣だからといって使わないという選択肢ではなく、制度について押さえた上で使うことも検討してみてはいかがでしょうか。
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