派遣スタッフも残業したら残業代が支払われる?
目次
近年では、自由な働き方を求めて正社員から派遣スタッフへ転職するケースも少なくありません。ただ、派遣スタッフになると残業代がきちんと支払われるのか、と不安を覚える方も多いようです。
この記事では、派遣スタッフの残業に関するさまざまな疑問にお答えします。
派遣スタッフの残業代に関する知識を身につけ、質の高い転職を実現しましょう。
派遣スタッフでも残業代は請求できる

法律で定められているため、派遣スタッフであっても残業をしたのなら使用者は残業代を支払わなければなりません。
労働基準法には、「法定労働時間は1日8時間、週40時間まで」と定められており、雇用形態に関係なく全労働者に適用されます。
派遣スタッフの使用者となる企業は、法定労働時間を超えた従業員に対し残業代を支払う義務を負います。
しかし、ブラック企業と呼ばれる一部の会社では、派遣スタッフに対し残業代を支払わないケースもあるため注意が必要です。企業にうまく丸め込まれないよう、派遣スタッフでも残業代を請求できる事実を覚えておきましょう。
なお、残業代を支払わないのは明確な労働基準法違反です。
法律違反となり、経営者には「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられることもあります。
残業代計算方法
残業代の計算方法を理解していないと、本来支払われるはずだった残業代が少ないことに気が付かないおそれがあります。そのようなことにならないよう、正しい残業代の計算方法を理解しておきましょう。
労働基準法では、法定労働時間を超えて働く労働者に対し、25%割増した残業代の支払い義務を明記しています。
計算式としては、時給×1.25×残業時間となるため覚えておいてください。
たとえば、17時が定時の会社で2時間残業した場合、スタッフの時給が1,000円なら計算式は以下のようになります。
1,000円×1.25×2時間=2,500円
なお、深夜22時から翌5時までは深夜労働となり、このケースでも25%の割増賃金が適用されます。
そのため、残業+深夜労働ともなれば、25%+25%=50%の割増率になることも覚えておきましょう。
また、実際どの程度割増となるかは契約している派遣会社により異なります。必ずしも25%の割増が適用されるとは限りません。派遣会社と契約するとき、しっかり確認してください。
残業するには36協定が必要

法律に多少詳しい方なら、36協定と呼ばれる言葉を耳にしたこともあるでしょう。
36協定とは、労働基準法36条に基づく労使協定を指します。実は、企業が労働者に対し残業を命じるには、36協定の届出をしなくてはなりません。
この届出をしていないのなら、使用者は労働者に対し残業を命じることができないのです。
36協定は、労働者を使用する企業と労働者によって書面で締結されます。これにより協定は締結されますが、さらに労働基準監督署へ届出をしなくてはなりません。
もし、届出を怠ったまま派遣スタッフに残業をさせてしまうと、労働基準法違反となり「6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金」が科せられます。
では、36協定の届出をしている企業は、労働者に対しいくらでも残業を命じてかまわないのでしょうか。
答えはノーです。ムリな労働は労働者の体力を消耗させ、ときには命にも関わります。
そのようなことが起きないよう、時間外労働には月45時間、年間360時間までと上限が定められているのです。
ただ、特別条項付き36協定と呼ばれる協定を結べば、先述の上限を超えた残業が可能です。繁忙期で明らかに業務量が増える時期もあるため、このような特例があります。
特別条項付き36協定は、時間外労働の上限がないことが問題とされていましたが、働き方改革関連法案が成立したことでこの問題も解決したのです。
派遣スタッフは残業を断れる?
基本的に、労働者には残業を断る権利があります。
ただ、実際には残業が常態化している企業も多く、立場の弱い派遣スタッフは断りにくいのが現状です。
派遣先の会社からどうしても残業してほしい、とお願いされ、泣く泣く時間外労働を続けている、といった派遣スタッフも少なくないでしょう。
まず、残業を断れるケースとそうでないケースがあることを覚えておく必要があります。
残業を断れるケースとは、すでに残業できる時間が残っていないような場合です。労働者が残業できる時間は限られているため、それを超える残業はできません。
断れないケースとは、条件的には可能なものの、私的な理由で残業ができないような場合です。
残業を断れるケース

派遣スタッフは、基本的に派遣会社と雇用契約を交わします。
雇用契約の中で、1ヶ月の残業時間が定められているのなら、それを超える時間の残業は原則断れます。
また、育児や介護など、残業できない正当な理由があるときは、企業が残業を強要することはできません。
もし、残業可能な時間がないのなら、正直にそう答えましょう。
「もう今月の残業時間の上限を超えているのでできません。」と伝えればOKです。自身では派遣先に伝えにくい、といったケースでは、派遣会社の担当者やエージェントに相談してください。
介護や育児など、正当な理由がある場合にも正直にそう答えましょう。
残業を断れないケース
36協定が締結された状態で、なおかつ残業可能な時間があり、正当な理由がなければ原則残業は断れません。
もちろん、時間外労働義務が定められているときに限ります。
時間外労働義務を定めた就業規則や契約があるのなら、原則残業しなくてはなりません。
ただ、残業が可能な条件は整っていても、人によってはさまざまな事情で残業ができないケースもあります。
介護や育児などのほか、特別な家庭の事情があり残業が難しい方も中にはいるでしょう。
うまく残業を断るには、なるべく早めに伝えることです。ギリギリになって伝えると、現場が混乱し多くのスタッフに迷惑をかけるおそれがあります。
また、今日は難しいけど明日はできる、と伝えるのも、現場に波風が立ちにくくなるでしょう。
未払い残業代がある場合は?
派遣スタッフの給料は、派遣先の会社ではなく雇用契約を交わした派遣会社が支払っています。
そのため、未払いの残業代がある場合も派遣会社へ請求するのが基本です。
まずは、派遣会社の担当者やエージェントに、残業代の未払いについて問い正してみましょう。
残業代を請求するにあたり、残業をした証拠が必要です。タイムカードやメモなど、残業したことを証明できる証拠をそろえましょう。
請求書を送る際には、内容証明郵便を使うのも効果的です。
それでも残業代の未払いに対応してくれない場合には、労働基準監督署へ相談しましょう。
労働基準監督署では、残業代の未払いをはじめさまざまな労働問題に対処してもらえます。
それでも解決しないときは、労働審判を検討しましょう。
労働審判は、労働問題を適正かつ迅速に解決するために始まった労働裁判制度です。
申し立てをするには、まず証拠を集め、その後申立書の作成を行います。証拠と申立書を裁判所に提出し、その後3回の審判が行われます。
労働審判は、自身での申し立ても可能ですが、弁護士への依頼も可能です。
多少お金はかかりますが、手間を軽減したい方は弁護士への相談も検討してみましょう。
まとめ
派遣スタッフであっても残業代は請求できます。
「うちの会社は派遣には残業代を払っていないから」などとごまかされないよう注意してください。
また、残業代の未払いがあるとき、請求するのは派遣先ではなく契約している派遣会社であることも覚えておきましょう。
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